私の耳にはぴちゃぴちゃと水の絡まりあうような音と、自分が漏らす吐息ばかりが聞こえてくる。
　どんどん深くなっていく口付けに、私は何も考えられない状態になってしまっていて、ただ、夢中でセフィロス様と舌を絡めあっていた。
　口の端から流れ落ちる唾液さえ、もう、気にならないぐらいだ。
　時間の感覚もほとんど薄れていて、真昼間だった気がするけれど、それもどうでもよくなっている。

「…あっ！」

　胸の突起に直接触れられて、声を上げてしまう。
　シャツはすっかり捲り上げられていて、胸から下はセフィロス様の眼前に晒されていた。

「…可愛い声だ」
「…やぁ…っ、ああ…ん…っ」

　指先で捏ねるように胸の尖りを弄られ、ツンと立ってくるのがわかる。そんな先をきゅっと摘まれて、私は背中を反らしてしまう。

「…胸はいつまでたっても弱いみたいだな…」
「…弱くしたのは……っ、あ……っ、ああ…っ」

　弄られていない片方の胸を舐め上げられたと思ったら、敏感になっている突起を舌先で転がされたり、つつかれたりして、身体の奥に熱が溜まってくる。
　両方の胸を片方は指先で、片方は舌と唇で嬲られて、吐き出す声が上ずって、耳を塞ぎたくなった。
　それでも、セフィロス様は喉の奥で軽く笑うだけ笑って、胸を弄っていた指先を下の方に滑らせていく。
　指先は抵抗する間もなく下着の中に入ってきて、張り詰めた私の昂ぶりに触れた。

「…もう、濡れてる…」
「…や…、…あ…っ、ダ、ダメ……っ！」
「何がダメなんだ？」

　何がって、そんなこと口にできるわけない。今にも飛びそうだから、触るななんて。
　答えない私に、セフィロス様はダメじゃないんだろ？と囁くように言うと、私の熱をそっと手の平で包むように握って、上下に動かし始めた。

「…ああ、ああん…、はぁっ…、い…、や…ぁ」

　セフィロス様は唇で胸を愛撫するのをやめないままで、私の昂ぶりを責めたてる。
　身体の中心に熱が集まっていて、その熱をすぐにでも外に出したくて、身体を大きく捩る。

「…も…、もう……、だめ…ぇ！」

　私は体内に溜まっていた熱をセフィロス様の手にぶちまけてしまった。
　セフィロス様は気にした様子もなく、肩で息をしているままの私の足を大きく開いた。

「…セフィロス……様…っ！」

　声で抵抗を試みてみたものの、そんなことで怯んだり、躊躇するような人ではない。
　さらけ出された蕾の周りをなぞるように、指先を滑らせ始めた。

「何か気になることでもあるのか？」
「…あ…、…ああ…っ、…だって、こんなに……明るい……ところで……」
「目を閉じてればいい」
「…私が…、目を閉じても……」

　セフィロス様の目の前にははっきりと私の全てが見えているわけで、そんな状態が恥ずかしくないなんてこと、ありえない。ただ、セフィロス様に言わせれば、今更、ということだろうし、もう、見慣れてしまっているんだろう。

「ああ、俺に見られるのが嫌だと？」
「…あ、…あの…、ああっ！」

　返答に困っていると、窄まっていた蕾にぐっと指先が挿入される。ゆっくりと中を解すように円を描きながら奥の方へと侵入してくる。内壁を擦られるたびに、声を上げて、身体をくねらせてしまう。
　そもそも、見られるのが嫌ならもっと激しく抵抗している。何が何でも、こういう行為に及ばないようにしていたと思う。本当に恥ずかしい、というだけなのだ。
　蕾の入り口も中の方も綻んできたのか、蠢く指の動きが早くなる。私の弱いところだけ狙ったように責めてこられて、短い声を上げ続けることになり、言葉が紡げない。

「…嫌…じゃなくて……、すごく……恥ずかしい……っ」
「まだ…、恥ずかしいのか…？」

　セフィロス様は指の動きを止めて、不思議そうな声で尋ねてきた。

「…当たり…前です…っ！　裸だけでも恥ずかしいのに、こんなに声を上げてる姿も、身体をくねらせてるところも……、全部、全部…、見られて……」
「そうか。でも、俺は嬉しい」
「…え？　…あ…、あっ…」

　セフィロス様は指をもう一本突き入れて、中を激しく責め始めた。私の気持ちは全く伝わらなかったんだろうか。抗議の言葉を投げつけようにも、セフィロス様の指の動きに合わせて、嬌声を漏らすしかできない。

「こうやって俺の腕の中で、乱れてるクラウドを見られるんだ。こんなに嬉しくて、幸せなことはないだろう？」
「…ああ…、あん……、で…、でも……」
「だから、もっともっと見せてくれ。俺にクラウドが恥ずかしいと思う姿を」

　わざとらしく内側を擦るように指を引き抜かれ、私は高い声を上げて、身体をのけぞらせる。
　押し殺したような笑いが耳に届いてすぐ、きゅっと締まった蕾を押し広げるように熱いものがあてがわれた。