Crazy a go go! [CASE:C] (11)
Crazy a go go! [CASE:C]

 私は自分の背中に手をやり、一気にジッパーを引き下げた。

「クラウド!」
「…本当は離れたくない…。でも、セフィロス様がザックスさんや他のメンバーさんたちを巻き込みたくないのと同様に、私はセフィロス様を巻き込みたくないんです!」

 肩を抜いてワンピースを脱ごうとしている私の腕を、セフィロス様は勢いよく掴んできた。そのまま引っ張られて、強く抱きしめられる。

「…セ、セフィロス様…!」
「クラウドを側においておけるなら、俺は巻き込まれようがどうなろうが構わない」

 はっきりとした言葉に、セフィロス様の意思の強さを感じる。私がどうわめいて、巻き込まないようにしようとしたとしても、きっと、それをセフィロス様はよく思わないだろうし、セフィロス様のことだ、わざと巻き込まれようとするだろう。

「…それは逆に私も同じです……、いえ、私だけではなく、ザックスさんも、メンバーの皆さんも」
「…いや…、…そんなことはできない…」
「どうして! 何が違うというのです?」

 セフィロス様の皆を巻き込みたくないという思いと、私がセフィロス様を巻き込みたくない思い。それはきっと同じはず。それなのに、私が巻き込まれるのはよしとしなくて、自分が巻き込まれるのはいいだなんて。

「気遣ってくださっているのはわかっています。でも、私もどうなろうと少しでもセフィロス様の側にいたい。だから、お願いです。一人で黙って行動しないで下さい。このお屋敷の誰かに関わることなのであれば、喜んで巻き込まれましょう」
「クラウド…」
「むしろ、巻き込んで欲しい。きっと、皆さん、そう思ってます。一人より、二人です。二人より、三人。多いほうがいいこともあります」

 セフィロス様は黙ったまま私の顔を見つめてくる。もしかしたら、何かおかしなことを口走ってしまったのかもしれない、と不安がよぎって、私は少しずつ俯き、すっかり下を向いてしまった。
 そんな私の頭をセフィロス様は軽く撫でて、くすっと笑いを零す。

「…これだから…、俺はお前を手離せない」

 頭上から降ってきた思いもかけない言葉に驚いて顔を上げると、セフィロス様は私の顎を掴んで、噛み付くようにキスをしてきた。
 構える間もなく、するりと舌が差し込まれ、私の舌を絡め取る。ゆっくりと口の中を弄る舌の動きに身体の力が抜けて、セフィロス様の腕に思わずしがみつく。その瞬間に手首に痛みが走ったけれど、そのまま耐えようとした。

「…クラウド…」
「……セフィ…、…ロス……様…?」

 深い口付けから解放されたものの、息が上手く継げずに、名前をきちんと呼ぶこともできない。

「少し、我慢してくれるか?」
「…が…まん?」

 セフィロス様は一つ頷くと、ジッパーの空いた背中側から洋服を引っ張って、私の腕を袖から抜いた。下着だけの姿にされて、ある程度の予想は付いてしまったけれど、まさかな、と頭の中で否定をする。

「セ、セフィロス様……?」
「さて」

 何がさてなのかわからないうちに、私は横抱きにされて、ベッドまで運ばれてしまった。ある程度の予想の方が正しかったらしい。

「セフィロス様!」
「何だ?」
「ま、まだお昼ですし……」

 そこで私は気が付いた。
 思ったより長引いてしまったと言って帰ってきたぐらいだから、セフィロス様はまだお昼の食事をなさっていないのではないだろうか。
 いくら余り食べない方だとは言え、おなかが空いているに違いない。

「セフィロス様! お食事は…」
「…ああ、今からいただきます」

 そう言うなり、セフィロス様は私の首筋に舌を這わせてきた。
 もしかして、もしかしなくても、そういう意味なのだろうか。そういう意味なのだとしたら、こんなお日様の高い時間から、しかも、光の注ぎ込む明るい部屋で……。
 恥ずかしくなった私は、無駄とは知りつつ抵抗を試みた。

「セフィロス様! お昼から、お仕事も……っ!」

 胸の先にセフィロス様の指先が触れて、思わず身体を捩じらせてしまう。反応の良すぎる自分の身体が恨めしい。もちろん、セフィロス様に触られているからなのだけど。

「…すごく疲れる仕事を朝からこなしてきたんだ、だから、昼からの仕事はなし。だから、クラウドが気にすることはない…」

 朝から出かけた先は内緒だと言ってた。その内容は疲れる仕事だったということなのだろうか。仕事の内容が気になった私はその仕事について尋ねてみた。
 すると、セフィロス様は露骨に不機嫌な表情を見せた。

「……言うのが嫌な内容なんでな。気分がよくなったら話す」
「そんなに嫌な……、…んんっ!」

 それ以上の質問を許さないかのように、セフィロス様は私の唇を塞いだ。
BACK