Crazy a go go! [CASE:A](後編)
「クラウド、おめでとう」
エアリスが駆け寄ってきて、めいっぱいの笑顔付きで祝福の言葉をくれる。
「ありがとう。エアリスさんには色々お世話になったのに、何もできなくて…。あ、これ」
クラウドはブーケをエアリスに手渡した。
「エアリスさんにはもう意味ないかもしれないんですけど…」
「ううん、ありがたくもらっておくね。えっと、じゃあ、次はお兄様の番ね」
「俺の番?」
「ブーケトスはこれで終わったわけだから、ガータートスしてもらわないと」
「ああ、そういうことか」
セフィロスは一人で頷いているが、クラウドには何のことかわからなかった。
「あの? セフィロス様?」
「クラウド、失礼するぞ」
「え? えええっ!」
セフィロスにドレスの裾を捲り上げられて、クラウドは驚きの声を上げた。しかも、セフィロスはそのドレスの中に潜ってくる。
「セ、セフィロス様…」
声をかけてみるが、セフィロスの方からは返事はない。それどころか、太ももに指が滑る感触が走って、クラウドは声を漏らしそうになった。
どうしていいのかわからなくて、うろたえていると、エアリスにじっとしてて、と言われる。じっとしてろ、と言われてもクラウドには難しいことだった。
片方の太ももはしっかりと指で掴まれていて、片方の太ももには唇で吸い付かれる感覚が幾度となく走るのだ。体の奥から火照ってきて、立っている足にも力がなくなっていく。声をかみ殺していられる自信などこれっぽっちもなかった。
ふと、ガーターベルトが膝のあたりまで下ろされているのに気付いた。
「あ…っ、あの…」
エアリスに視線を移すと、にこにこしながら、セフィロスの行為の意味を教えてくれた。
「新郎さんが口で花嫁のガーターベルトを外して、未婚の男性に投げるんだよ。ブーケトスの男性版みたいなもの」
「…それで、セフィロス様は……」
「頑張ってるんでしょうねぇ。ついでにやらしいことしてそうだけど…」
「…っ!」
セフィロスはエアリスの声が聞こえていたかのように、わざとらしく太ももに指を滑らせる。足の付け根辺りを触るものだから、クラウドは歯を食いしばってうつむくしかなかった。
太ももから湧き上がる淡い快感が途切れたと思ったら、足を少し持ち上げられる。その足が下ろされた後、セフィロスはドレスの中から出てきた。口にはレースのガーターベルトが咥えられている。
セフィロスは咥えていたガーターベルトを掴むと、うわーっ、と湧き上がる列席者を見渡した。
「おい、ザックス!」
その言葉にクラウドも列席者が集まっている方を向く。ザックスは列席者たちの一番後ろに立っていた。
ザックスは小走りでセフィロスの傍まで寄ってきて、お呼びですか、と姿勢を正す。
「これはお前にやる」
セフィロスはガーターベルトをザックスの前に差し出した。
「え? あの、俺、もう、未婚じゃなくなること決定してますけど…」
「わかってる。これは俺のちょっとした思い。今までお世話になってきたお礼と、これからもよろしく。それから、幸せのおすそ分け」
「あ、ありがとうございます!」
「礼はいい。さあ、パーッと祝うぞ!」
深く頭を下げているザックスさんの肩を叩き、ザックスの顔を上げさせると、ザックスと肩を組んで、ワインボトルの並ぶテーブルへと向かった。
クラウドは小さく息を吐いて、セフィロスとザックスの後ろ姿を見送った。
「こんな綺麗な花嫁ほったらかして、飲む気満々ってどういうことよ!」
「エアリスさん…」
「全く、お兄様もザックスもどういうつもりなのかしら!」
「いいんです。お二人はずっと一緒におられて、今まで大変なことを乗り越えてこられたんでしょう。一緒に騒ぎたいのもわかります。お二人が仲良くされているのを見てると、こちらも楽しくなります」
「もう、クラウドはやさしすぎるわよ。お兄様にはもっと厳しく言いなさいよ」
クラウドは軽く首を振ってから、エアリスの手を取った。
「私たちもご馳走にあずかりましょう。セフィロス様とザックスさんに食べつくされてしまいます」
「もう! お兄様のことだから調子に乗るわよ!」
エアリスのまるで太い釘を刺すような強い口調に、クラウドは笑って返した。
セフィロスに何を言っても無駄だということは、初めて出会った時からわかっている。
セフィロスがあの時何も聞かず、かばってくれたから、今の自分がある。
そんなセフィロスに何を言うことができるだろう。
「今さら、でしょう?」
「…そうね。言うとおりね。クラウド、苦労するわよ」
「いいえ。きっと、楽しくてしょうがないと思いますよ」
クラウドはめいっぱい笑顔を見せてから、セフィロスの傍へと駆け出した。
エアリスが駆け寄ってきて、めいっぱいの笑顔付きで祝福の言葉をくれる。
「ありがとう。エアリスさんには色々お世話になったのに、何もできなくて…。あ、これ」
クラウドはブーケをエアリスに手渡した。
「エアリスさんにはもう意味ないかもしれないんですけど…」
「ううん、ありがたくもらっておくね。えっと、じゃあ、次はお兄様の番ね」
「俺の番?」
「ブーケトスはこれで終わったわけだから、ガータートスしてもらわないと」
「ああ、そういうことか」
セフィロスは一人で頷いているが、クラウドには何のことかわからなかった。
「あの? セフィロス様?」
「クラウド、失礼するぞ」
「え? えええっ!」
セフィロスにドレスの裾を捲り上げられて、クラウドは驚きの声を上げた。しかも、セフィロスはそのドレスの中に潜ってくる。
「セ、セフィロス様…」
声をかけてみるが、セフィロスの方からは返事はない。それどころか、太ももに指が滑る感触が走って、クラウドは声を漏らしそうになった。
どうしていいのかわからなくて、うろたえていると、エアリスにじっとしてて、と言われる。じっとしてろ、と言われてもクラウドには難しいことだった。
片方の太ももはしっかりと指で掴まれていて、片方の太ももには唇で吸い付かれる感覚が幾度となく走るのだ。体の奥から火照ってきて、立っている足にも力がなくなっていく。声をかみ殺していられる自信などこれっぽっちもなかった。
ふと、ガーターベルトが膝のあたりまで下ろされているのに気付いた。
「あ…っ、あの…」
エアリスに視線を移すと、にこにこしながら、セフィロスの行為の意味を教えてくれた。
「新郎さんが口で花嫁のガーターベルトを外して、未婚の男性に投げるんだよ。ブーケトスの男性版みたいなもの」
「…それで、セフィロス様は……」
「頑張ってるんでしょうねぇ。ついでにやらしいことしてそうだけど…」
「…っ!」
セフィロスはエアリスの声が聞こえていたかのように、わざとらしく太ももに指を滑らせる。足の付け根辺りを触るものだから、クラウドは歯を食いしばってうつむくしかなかった。
太ももから湧き上がる淡い快感が途切れたと思ったら、足を少し持ち上げられる。その足が下ろされた後、セフィロスはドレスの中から出てきた。口にはレースのガーターベルトが咥えられている。
セフィロスは咥えていたガーターベルトを掴むと、うわーっ、と湧き上がる列席者を見渡した。
「おい、ザックス!」
その言葉にクラウドも列席者が集まっている方を向く。ザックスは列席者たちの一番後ろに立っていた。
ザックスは小走りでセフィロスの傍まで寄ってきて、お呼びですか、と姿勢を正す。
「これはお前にやる」
セフィロスはガーターベルトをザックスの前に差し出した。
「え? あの、俺、もう、未婚じゃなくなること決定してますけど…」
「わかってる。これは俺のちょっとした思い。今までお世話になってきたお礼と、これからもよろしく。それから、幸せのおすそ分け」
「あ、ありがとうございます!」
「礼はいい。さあ、パーッと祝うぞ!」
深く頭を下げているザックスさんの肩を叩き、ザックスの顔を上げさせると、ザックスと肩を組んで、ワインボトルの並ぶテーブルへと向かった。
クラウドは小さく息を吐いて、セフィロスとザックスの後ろ姿を見送った。
「こんな綺麗な花嫁ほったらかして、飲む気満々ってどういうことよ!」
「エアリスさん…」
「全く、お兄様もザックスもどういうつもりなのかしら!」
「いいんです。お二人はずっと一緒におられて、今まで大変なことを乗り越えてこられたんでしょう。一緒に騒ぎたいのもわかります。お二人が仲良くされているのを見てると、こちらも楽しくなります」
「もう、クラウドはやさしすぎるわよ。お兄様にはもっと厳しく言いなさいよ」
クラウドは軽く首を振ってから、エアリスの手を取った。
「私たちもご馳走にあずかりましょう。セフィロス様とザックスさんに食べつくされてしまいます」
「もう! お兄様のことだから調子に乗るわよ!」
エアリスのまるで太い釘を刺すような強い口調に、クラウドは笑って返した。
セフィロスに何を言っても無駄だということは、初めて出会った時からわかっている。
セフィロスがあの時何も聞かず、かばってくれたから、今の自分がある。
そんなセフィロスに何を言うことができるだろう。
「今さら、でしょう?」
「…そうね。言うとおりね。クラウド、苦労するわよ」
「いいえ。きっと、楽しくてしょうがないと思いますよ」
クラウドはめいっぱい笑顔を見せてから、セフィロスの傍へと駆け出した。