父の日
父の日

「…ぅ…、ああああ……っ!」

 甲高い声を部屋に反響させて、クラウドは自身の昂ぶりから白濁の液体を勢いよくばらまいた。
 その直後、俺のモノも射精を促すように急激に締め付けられて、クラウドの中に熱を迸らせた。
 息を整えているクラウドの額にそっと触れ、汗で張り付く前髪を避けてやる。その手を指先で掴んだクラウドは嬉しそうに笑う。

「…セフィが…」
「俺が…?」
「…足りないんだよ、俺は」
「じゃあ、いつでもそう言え。全て差し出してやる」
「…甘やかすねぇ、俺を」

 クラウドはいたずらっ子のように笑うと、中に咥えたままの俺のモノを強く刺激してきた。

「…明日、学校は休みなんだろうな?」
「だから、こうやって、誘ってる」
「では、遠慮無く」

 俺達はまた、底の無いような快楽の淵へと二人で沈んでいった。



 部屋が明るくなったのだろう、まぶしさに目を開けた。
 時間を確認したいと思ったが、動くのがはばかられる状況だった。クラウドが俺の右腕を枕代わりにして、眠っている上に、しっかり俺にひっついている。
 左手は使えるけれど、携帯を掴もうと少しでも動いたら、クラウドが起きてしまうかも知れない。
 学校は休みだと言っていたし、早起きする必要はないだろうから、時間を気にすることもないのか。
 クラウドの様子をうかがってみると、身動き一つせずに、眠っている。
 お互い求め合ってたとはいえ、激しく抱き合ったから、きっと、起き上がるのは辛いはずだ。無理に起こすこともない。
 右腕に感じるクラウドの重さと身体に伝わるクラウドの体温を感じながら、もう一度目を閉じた。
 しばらくすると、眠気がまた襲ってきて、そのまま寝てしまおうと決めたところで、セフィ、と声がした。

「…起きたのか?」
「起きてた。ちょっと前から」

 クラウドは、んしょ、と小さく声を出して、身体を起こした。
 俺の右腕を持ち上げて、どけるように俺の身体の上に乗せると、またその場所にごろりと横になった。

「ごめん、煙草吸ったりしたかっただろ?」
「気にしなくていい。クラウドは俺に気を遣いすぎる。しっかり寝ておけ」
「もう、大丈夫。こんなにセフィロスの近くにいるのに、寝てるなんてもったいない」

 何がもったいないのだか、よくわからない。
 確かにお互いバタバタしていることも多いが、それでも一緒に居る時間は長い方だと思う。抱き合う回数も少ないとは思っていない。

「好きにしろ」

 俺は身体を起こして、サイドテーブルに乗せてあった、煙草の箱を掴んだ。1本抜き出そうとして、箱を右手に持ち替えたところで、手を掴まれた。

「…なんだ?」
「もうちょっと後にして」

 クラウドは俺の手から煙草を取り上げると、ぽいっとベッドの下に落としてしまった。
 何か言いたいこととかあるのだろうか。
 俺は一つ息を吐き出すと、もう一度横になって、クラウドの身体を抱きしめた。

「…これでいいか?」
「…うん…」

 クラウドは俺の胸の辺りに顔を埋めるようにして、ひっついてくる。
 頭を撫でてやりながら、昨日のことを思い返していて、気づいたことがあった。

「そういえばな、クラウド」
「何?」
「あの、父の日の券のことだが…」
「ああ、腰砕き券のこと?」
「何がどうなって、あんな券になったんだ?」

 クラウドはクスクス笑うと、言い間違いだよ、と言った。

「言い間違い?」
「そ、クレフが学校で言われたらしいんだよ。父の日だから、何かしてあげましょうって。で、例として言われたのが『肩たたき券』だったんだけどさ…」
「…何をどう間違えたら、肩たたきが腰砕きになるんだ?」
「俺に聞くなよ、クレフに聞いてくれよ」

 クレフに言い間違いの理由を聞いても出てくることはないだろう。本気で間違ってる可能性が高い。
 だとしても、訂正をする時間はあったんではないだろうか。
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