父の日
父の日

「…悪い子だな…」
「子、ではないと思うけど…?」
「…っ!」

 クラウドの指先が俺の脇腹をなぞる。どういうわけだか、脇腹が弱いらしくて、過敏に反応してしまう。
 クラウドみたいにどこかしこも弱いわけではないし、俺自身、脇腹が弱いなんて思ったこともなかったから、クラウドに発見されたときは、やられた、と思った。

「ちゃんと、腰砕き券の効き目はあったかな…?」

 俺の首に腕を絡めて、クラウドはキスをねだってくる。
 クラウドの赤い唇に軽く口付けてから、そっと頬に触れる。

「…あったがな、一回きりっていうのがもったいなかった…」
「何言ってんの。いつもだとありがたみがないだろ?」
「そんなことはない。無期限で、回数無制限の券にしてくれればいい」
「絶対、飽きると思うけどな…」
「まさか。クラウドを抱くことに飽きる日なんて、来るわけがない」

 クラウドは小さく笑うと、俺のシャツのボタンを外し始めた。シャツぐらい自分で脱げるし、ボタンを外そうと手を伸ばしたら、手の甲を軽く叩かれた。

「俺が脱がしたいの」
「…そう…ですか…」

 あんまり反抗的な態度を取ると、後々、こじれるし、このまま強制終了ってこともありえる。
 そんなもったいないことをするわけにはいかない。

「いいよなぁ、綺麗に筋肉ついてて」

 ボタンを外し終えたのか、クラウドは俺の胸の辺りに軽く触れて、溜め息のような声を漏らす。

「…何言ってるんだ? お前の方がいい身体だろう?」

 クラウドのバスローブの合わせ目に手をかけようとしたところで、手を掴まれた。
 クラウドは首を横に振っている。
 脱がすなということなんだろうか。
 対応に困っていると、自分で脱ぐ、と言い出した。

「…好きにしていいんじゃなかったのか?」
「いいよ。もちろん」
「では、脱がすことも楽しんでいいと思うんだが?」
「いつも楽しんでるじゃん。それに、中身は変わらないよ?」

 クラウドの言い分にも一理あって、俺が強制的にベッドとかソファーに引きずり込んでしまうことが多いので、そうなると、俺が脱がすことになるわけだから、楽しんでると思われても仕方がない。事実、楽しんでいる。当然のことだ。

「中身が急に変わっても困るが、クラウドには変わりない」

 俺の手を掴んだままのクラウドの手を振り払って、俺は無理矢理クラウドのバスローブをはだけさせた。
 まばゆいほど白くて滑らかな肌が目の前にさらけ出されて、思わず息を呑む。青白い首筋や、白い肌に映える乳首の色など全てが俺の劣情を刺激してくるのだ。

「…セフィ…、あんまり見るなよ…」

 俺の視線に耐えかねたのか、頬を淡い紅色に染めて、クラウドは視線を反らした。
 漏らした声や動作が引き金だった。
 クラウドの両肩を掴み、ベッドに沈み込ませると、切り裂きたくなるような首筋に強く吸い付いた。

「……あ…っ」

 頭上で小さく聞こえる吐息が、また俺を煽ってくる。
 首筋から鎖骨に向かって舌を這わせ、鎖骨にも赤い痕を残してから、片方の乳首を舐め上げてやる。クラウドは短い声を上げて、身体を小さく揺らした。そのまま乳首に吸い付いたり、舌でねっとりと舐め回しているうちに、クラウドの声が大きくなってきた。

「…あ…っ、胸…ばっかり…」
「ばっかり、と言うが、また片方だけで、こっちは何もしてなかったんだがな」

 反対側の乳首を指先できゅっと摘まんでやる。片方を指先で、もう片方を舌と唇で愛撫し続けてやってるうちに、クラウドは高い声を短い間隔で漏らすようになった。
 胸からの刺激から逃れようと思っているのか、身体を右へ左へと捩らせている。

「…ああっ、もうっ!」

 急にクラウドは俺の手を掴んできた。

「俺の好きにしていいって言ったくせに」
「…ん…、そう…だけど……」

 そう言ってクラウドは俺の手をそっと離し、目をぎゅっと瞑ってしまった。何か覚悟をしているように思えてしょうがない。別に怖い思いをさせようと思ってもないし、普段しないプレイになだれ込もうとしてるわけでもない。
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