ONLY YOU(8)
ONLY YOU

「まだダメだ」

 セフィロスは中を解すように指を動かしながら、奥の方まで差し入れてきた。中を蠢く指はたまに俺の弱いところを掠めてくるので、高い声を漏らしてしまう。

「この辺…だな…」

 弱いところだけを狙ったように責めてくる指先に、俺は抵抗することもできず、ただ、身体を捩らせている。
 セフィロスはそれに気をよくしたのか、弄る指を増やし、俺の中をさらに責め立ててきて、俺はシーツを掴む指先に力を込めた。短い声を抑えることもできない。

「…セフィ…っ! もう…っ!」
「欲しいのか?」
「…だって…、余裕…ない……」

 俺の昂ぶりは硬さを増していて、もう、限界に近い。セフィロスを受け入れた時点で、ばら撒いてしまいそうな気もしてる。

「しょうがないな」

 内壁を擦りながらセフィロスの指が引き抜かれ、代わりにあてがわれた熱いものの圧倒的な質量に息を呑む。
 いつも受け入れてはいるけれど、痛みが伴わないわけじゃない。

「…セフィ…っ」
「息を止めるなよ」
「……っ、ああ…っ!」

 セフィロスは先端をぐっと押し込んできた。そのまま内壁を押し広げるようにして、じわじわと侵入してくる。無理に広げられる痛みと内側を擦られて生まれてくる快感の両方が俺の思考を溶かしていくようだった。

「…奥まで入ったぞ…」
「…早く…っ…!」
「わかった」

 セフィロスはそう言うと、一番感じるところに当るように、腰を前後に揺らしてくる。俺の中いっぱいに収まったセフィロスの熱塊は内壁を強く擦り、焦がされていくようだ。
 動くたびに強烈な快感が体中を巡って、俺は高い声を部屋に響かせる。俺自身は聞きたくもないような声だけれど、セフィロスは聞きたいんだろう。
 それぐらいに、セフィロスの動きは激しい。その動きに合わせて、俺の昂ぶりもセフィロスの腹部に擦られ、責めたてられている。
 内側からと外側からの刺激に、俺にはもう現実感がない。俺の喘ぎ声と、ベッドのきしむ音、そしてくちゅくちゅと液体が絡み合うような卑猥な音が織り交ざって響くような空間が現実とは別のところに作り出されたみたいだ。

「…っ、ああっ、セフィ…っ!」

 俺の呼びかけに答えるように、セフィロスの腕が俺の身体をしっかりと抱きかかえた。さらにセフィロスの昂ぶりを咥えこむことになって、俺はますます自分を追いつめることになる。

「…クラウド…、きつい…」
「…そんな…こと…、言われ…ても…、ああん!」

 セフィロスは俺の腰をしっかりと抱え、さらに激しく腰を送り込んでくる。俺は頭を振って、セフィの名前を呼ぶしかできなくなっていて、口の端から唾液も零れている。
 もう、どうにかしてほしいと思っているのに、これほど激しく求められて、抱かれているのが嬉しくて、幸せすぎて、ずっとこのままでもいい、と思ってしまっている。
 そんな俺の想いがセフィロスに伝わっているのだろうか。
 俺だからこんなにも強く抱いてくれるのだろうか。そういうわけでもないのだろうか。
 不意にセフィロスの動きが止まって、俺は目を見開いた。何故だか涙が溢れ出てきた。

「…クラウド、何を考えてる?」
「…え? な、何も…?」
「不安にならなくていい。俺はクラウドだけが欲しい。クラウドだから貪りつくしたくなるんだ」
「セフィ…っ! ああ…っ、もう、ダメぇ……っ!」

 奥を深く抉ってくるような動きに、俺はただ流されるしかなかった。次から次へと襲ってくる強い快感に抗うことなどできずにいた。
 急にセフィロスが大きく腰を引く。内側を擦られる感覚に息を漏らしたのもつかの間、セフィロスの昂ぶりを逃すまいときゅっと締まった内壁をこじ開けるように、勢いよく最奥を貫かれた。
 ひときわ高い声を上げて、俺は自分の熱を外にぶちまけた。すぐに、セフィロスの短い低い声が聞こえて、俺の中はセフィロスの熱で満たされた。
 幸せすぎる。
 心の中で呟いたつもりだったのに、声に出ていたらしい。

「俺もだ」

 耳元で響くセフィロスの声に嬉しくなって、俺はぎゅっと抱きついた。



 目覚めた時に、セフィロスの姿は隣になかった。
 いつものことだけど、たまには俺が目が覚めるまで横にいてくれてもいいと思う。そんなことを口にしたことはないから、セフィロスは勝手に行動するんだろう。セフィロスを拘束するっていうのは、とっても難しいんだ。
 パジャマの上着を羽織ってから、セフィロスを探して、リビングの方に移動してみたが、セフィロスはいなかった。テーブルに一枚の紙が置いてあるのに気付いて、俺はその紙を確認した。
 『出かけてくる すぐ戻る』と書かれてあって、セフィロスはどこかに出かけてしまっているらしい。
 携帯電話で時間を確認してみると、もう、お昼が来るような時間だ。俺を起こさずにいてくれたらしいけど、ひと声かけてくれてもいいと思う。俺は少しでも一緒にいたいと思ってるのに。
 ソファーにゴロンと横になったところで、ドアが開く音がした。

「クラウド、起きてたのか?」

 セフィロスは紙袋をテーブルに置いて、中から何か取り出している。よく見ると、衣類のようだ。

「セフィロス?」
「乾かなかった。だから、買ってきた」
「乾かなかった…?」
「服だ。乾くまで待つよりは買った方がいいんだろう?」

 ああ、昨日、そう言ったな。セフィロスのせいでびしょ濡れになった俺の服は一晩で乾かないと思っていたけれど、案の定か。
 それに、俺は昨日脱ぎっぱなしにしていたはずだから、乾くはずもないだろう。

「昨日、ハンガーにつるしたりしておいたんだが。乾かなかった」
「え? してくれてたの?」
「一応、な。今、思ったんだが、ホテルのクリーニングに出せばよかったんじゃないだろうか」
「そうか! そうだよな、それが一番いいよな!」

 どうしてそんな簡単なことに気付かなかったんだろう! ここのホテルなら一晩で仕上げてくれそうだったのに。洋服買うよりは少しお安く済んだんじゃないだろうか。

「ごめん、買いに行かせて」
「いい。他に買うものもあったしな」
「他に?」
「まあ、着替えて来い。襲いたくなる前に」

 セフィロスはそう言って、洋服一式を俺に手渡してきた。ちゃんと下着もある。
 受け取った洋服達を持って寝室に移動すると、手早く服を着た。全部サイズばっちり合ってる。
 まあ、あれだけ俺のこと抱いてたら、俺の身体のサイズとかわかるだろうし。
 ……どうやって説明したんだろ……。
 ちょっと嫌な考えが浮かんだけど、それを打ち消して、リビングへと戻った。
 セフィロスはソファーに深く腰を下ろしていて、煙草を咥え、天井を見上げていた。

「セフィロス?」
「あ、ああ。着替え終わったのなら、これを」

 俺の目の前に差し出されたのは、小さめの紙袋だった。中には箱が一つ。リボンがかけられているので、プレゼント包装だ。

「…何?」
「ホワイトデー」
「あ、ああ! ありがとう!」

 そうか。セフィロスが誘拐されたりとか色々ややこしかったので、すっかり忘れてたよ。
 セフィロスからプレゼントだ。
 今までに何度となくもらっているけれど、もらうたびにうれしさがこみ上げてくるんだよなぁ。
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