ONLY YOU(6)
ONLY YOU

「じっとしてないと落とすぞ」
「落としてみろよ!」

 セフィロスはくすっと笑うだけで、何もせずにシャワールームまで俺を運んだ。俺の強がりは全くスルーだ。抵抗する方がバカらしく思えてしまう。
 俺を抱えた状態でシャワーのコックを捻り、セフィロスはお湯の降り注ぐ真下に俺を降ろしやがった。

「セフィロス! 服が濡れる!」
「お互いな」
「アンタはパジャマじゃないか! 俺はこれを着て帰らなくちゃいけないんだぞ! 乾かなかったらどうしてくれる!」
「簡単なことだ。新しいのを買ってやるさ」
「な、何、言ってんだよ! そもそも、アンタがここに連れてこなかったら、濡れずに済んだんだぞ!」
「確かに。だがな、クラウド」

 セフィロスは俺が着ていたパーカーのジッパーを一気に下ろした。パーカーの下に着ていたTシャツも濡れてしまっている。身体にぴったり引っ付いているのが気持ち悪い。

「何だよ」
「お前がシャワーを浴びて出てくるまで待てなかったんだ」

 俺の顎はしっかりと掴まれて、振りほどく前に唇を塞がれてしまった。
 さっきまで、ふにゃっとして、寝言言ってたとは思えない。
 するりと侵入してきたセフィロスの肉厚の舌が俺の口中を蠢いて、逃れようとする俺の身体から、力が抜けていく。

「…ん…ぅ…」

 体を引き離そうと掴んだセフィロスの腕に、縋りつくように力を込めてしまう。深くなっていく口づけに俺はもう蕩けてしまっていた。
 口づけを交わしながら、セフィロスは俺のパーカーを脱がそうとするので、慌てて、セフィロスの身体から離れた。

「…ちょ、セフィロス!」

 ここでパーカーを脱がされるということは、Tシャツはもちろんのこと、一切合切脱がされることになるだろう。
 いかにも不満ですと言った顔をして、セフィロスは俺を見つめている。

「これ以上濡れたら、乾かないんだってば!」
「だから、買うと言ってるだろう?」
「濡れなければ買わなくて済むじゃないか!」
「服を買うのが気に入らないのなら、乾くまでここに泊まることにすればいい。もう一泊するぐらいどうということはない」

 改めて思ったんだけど、金銭感覚おかしいぞ、この人。
 服買うのもどうかと思うけど、この部屋でもう一泊するよりは、服買う方が安いんだぞ!

「考えてみろって! 服の方が絶対安いんだってば! でも、俺のために服を買わせるわけにもいかないんだよ。ちょっとは考えろよ!」
「…ふむ。では、俺のためだったら、金を使っても文句はない、と」
「そりゃ、セフィロスがセフィロスのためにお金を使うのならいいと思うけど…」
「だったら、問題ないじゃないか。俺のためだ」

 セフィロスは俺のパーカーに手をかけて、結局はぎ取ってしまった。Tシャツもすっかりびしょ濡れになり、白いTシャツだったせいで、肌がうっすら透けてしまっている。

「どこが!」
「俺が今すぐクラウドを抱くために、ここに連れてきたんだからな」

 セフィロスの指先がTシャツ越しに俺の胸に触れる。簡単に突起を摘まれて、俺は短く声を漏らしてしまった。
 怒ってるっていうのが伝わらないじゃないか、これじゃ。
 俺はセフィロスの顔を両手で包むように掴んだ。

「わかってる? 怒ってるの、俺は。ここで抱き合うのが嫌って言ってるわけじゃない。ただ、無駄遣いだって言ってんの!」
「クラウドにとってはそうかもしれないが、今回は俺が俺のために必要だと思って使うわけだから、問題はない」
「セフィロスのためって言うけどさ、この場合は…単に…!」

 欲望を満たそうとしてるだけじゃないか。
 そう言い放とうとした俺の身体をセフィロスに抱きしめられた。

「クラウド」

 セフィロスの声が俺を諌めるように低く響く。

「…ん?」
「言い分は後でゆっくり聞く。だから…」
「だから、何?」
「今は黙って、抱かせろ」

 耳朶を嬲りながら囁かれて、俺は背筋が甘く痺れた。
 セフィロスはずるい。その声や言葉が武器になってるってことを知っていて、攻撃してくるのだ。俺が抵抗できなくなるってことは計算済みなんだ。
 悔しくて睨み返そうと思っても、先にセフィロスは俺の首筋に舌を這わせてくる。セフィロスの腕はしっかりと俺の腰を抱いていて、逃がしてくれそうにはなかった。
 頭の上から降り続けているシャワーのせいで、二人ともびしょ濡れだ。俺はジーンズもその中の下着も濡れそぼっていて、ぴったりまとわりついてきて気持ち悪い。

「…セフィ…」

 俺の背中に指を滑らせているセフィロスの手を軽く掴んだ。

「何だ、まだ、何か気に入らないのか?」
「気に入らないよ」
「一体、どうしたら、素直に抱かせてくれるんだ、お前は…」

 まるで俺がわがままみたいな物言いだけど、ここで俺が反論すると、また口喧嘩になりそうな雰囲気だし、俺は自分の要求だけ述べることにした。
 セフィロスの身体にぴったりとひっついてみると、Tシャツが身体に張り付く。
 これはやっぱりダメだな。

「なあ、セフィロス、まずシャワーを止めて」

 シャワーを止めたセフィロスは、それから、と促してくる。

「…服、脱ぐ」
「手を貸そうか?」
「いいよ、服ぐらい自分で脱げる」

 濡れて張り付くTシャツを必死に引っ張って脱ぎ、足元に落とす。続いてズボンを脱ごうとしたけど、下着も一緒にずれてきて、面倒になったので一気に脱いだ。

「珍しいな。自分から全部脱いでしまうとは」
「脱がす手間を省いてあげたんだよ。そっちも余裕ないんだろ?」
「まあな」

 俺は肩を押されて、後ろに歩かされた。かかとが壁に当ったところで、セフィロスは俺の胸に触れ、突起を指先で弄り始めた。すぐに硬く尖ってしまって、ジンジンと痺れるような痛みが襲ってくる。痛みと言っても、すぐに快感に変わっちゃうのだけど。
 短い声も抑えられないほどにセフィロスは胸の先を責め続けてくる。片方は指先で、片方は唇と舌を使われていて、俺は立っているのがやっとの状態だ。胸から広がってくる快感はもう全身へと回っている。

「…セフィ……っ」
「どうした?」
「どうした、じゃ…なくて…」
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