2005ハロウィン (1)
2005ハロウィン

「カボチャ、カボチャ♪」

 大きなかぼちゃを抱えて歌を歌っているのはクレフである。同じく大きなカボチャを抱えて、呆れた顔をしているのはお兄ちゃんのカインだ。
 同じ日に生まれたこの二人、同じなのは背丈だけで、外見も違えば、性格も違う。
 お兄ちゃんのカインはセフィロスにそっくりで、性格までセフィロスのコピー。セフィロスからしてみれば違うらしいのだけど、俺から見れば全くそっくり。小さい頃のセフィロスはこうだったんだろうか、と思うと可愛くてしょうがない。ちょっと生意気なところや冷めたところがあって、子供らしいところが少ないんだけど、まだまだ俺には甘えてくる。そこがまた可愛いんだ。
 クレフのほうは俺にそっくり。性格はクレフのほうがおっとりしていると思う。少し天然なところがあって、ほっておくと危なっかしい。
 クレフはセフィロスが好きみたいで、よくセフィロスにひっついていく。逆にカインはセフィロスの事があまり好きではないみたい。セフィロスいわく、カインはセフィロスをライバル視しているらしい。何かにつけて張り合おうとしているので、セフィロスは困っているようだ。
 だけど、セフィロスは実は容赦しないんだよな。子供相手にムキになってるのかと思いきや、親と言うものは絶対だ、というのを教えているらしい。そこが容赦していないように見えるのかもしれない。

「おにいちゃん、これをどうするのー?」
「なかみをくりぬいて、ランタンにするんだよ」
「ランタン?」
「ちょうちん。めと口をつくって、なかにろうそくを入れるんだ」
「ちょうちん、ちょうちん♪」

 多分、提燈がどんなものかは分かっていないと思う。まあ、おいおいわかることだし、いいんだけど。

「おかーさん、ちょうちん、ちょうちん」

 クレフが足元で呼びかけてきたので、生クリームを泡だてている手を止めて、クレフの目線にまでしゃがんだ。

「ちょうちんはお父さんが作ってくれから、そのかぼちゃを持って、お父さんのところにいっておいで。ちゃんとお手伝いするんだよ」
「はーい」

 クレフはうれしそうにリビングに座っているセフィロスの元へとかけていった。その場に残ったカインが俺を見つめている。

「どうかしたのか?」
「ううん。ぼくたちもかそうするの?」
「カインはどうしたい?」
「ぼくは……」
「カインがしたいのなら、すればいいし、したくないのならしなくていい。無理にする必要はない。一応、二人分用意してあるけど」
「え? ぼくのぶんも?」

 何だか意外だったらしく、カインは目をまん丸にしていた。感情表現がはっきりしているのは子供だからだろう。

「当たり前。一人分しか用意しないなんてことはない」
「…じゃあ、ぼくもかそうする」
「はいはい。夕ご飯食べてからね」

 大きくうなずくと、カインはぱたぱたっとリビングへと走っていった。
「めは三かくだよ」とか、セフィロスに指示している声が聞こえる。
 昨日の神羅のハロウィンパーティーでかなりお疲れのはずなんだよな…、ごめんセフィロス。
 心の中で謝りながら、俺は大慌てでハロウィンに向けての支度をした。





「セフィロスはどうする?」
「何を?」

 ウィスキーの入ったグラスを傾けながら、セフィロスは尋ねてきた。

「仮装だよ」
「…ドラキュラにするか…」
「昨日もそうだっただろ?」
「子供達は見てないから、いいだろ?」
「…俺がつまんない…」

 思わず口に出してしまった。ドラキュラが嫌なわけではない。現に昨日はドラキュラの仮装が見事にハマっていて、パーティー会場で人に囲まれっぱなしだったのだ。そう、俺が近づくのがままならないぐらいにね!
 セフィロスは軽く笑うと、グラスを置いて立ち上がった。
 セフィロスが立ち上がると、俺は本当に低い所にいるような威圧感を受ける。どんなに長い間側にいても、この感覚はなくならない。

「では、どういうのがお好みだ?」
「え?」

 考えてなかったよ。セフィロスだったら、何を着ても似合いそうだけど、セフィロスってどんな仮装がいいんだろう…。
 頭の中では昨日のドラキュラの仮装が頭に浮かんできて、それ以外の姿が思いつかない。
 唸っている俺の肩をセフィロスは叩くと、適当に考える、と自分の部屋へと行ってしまった。
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