2005ハロウィン (2)
2005ハロウィン

「おかーさーん」

 カインとクレフのはもった声がキッチンの奥から聞こえてきた。
 風呂から上がった二人がバスタオルをかぶったまま、駆け寄ってきた。

「ほらほら、ちゃんと拭いて。拭けたら仮装の衣装を着よう」

 二人同時に目が光る。
 そんなに仮装がしたかったのだろうか。そういえば、子供の頃ってこういうお祭りみたいなことが楽しいんだっけ。
 一生懸命身体を拭いている子供達の横で仮装の衣装を準備してやる。

「しろい、ぬの?」
「そうそう。今回はね、おばけ」
「おばけー?」

 クレフは布をひっぱりながら、首をかしげている。

「こうやって頭からかぶって、目のところは外が見えるように穴を開けてあるからね。そこに目がくるようにして」

 クレフに頭から布をかぶせて、準備をさせる。
 視界が狭くなっているので、クレフは歩きにくいらしく、ふらふらしていた。

「おにーちゃんはどこー?」
「こっちこっち」

 カインがクレフの手を捕まえる。
 カインにも同じ衣装を着せて、二人並ばせてみる。
 二人はどうしていいか分からないかんじで、きょろきょろしていたが、こちらからみると、小さなおばけがちょこんと立っている姿がすごく可愛くて、思わず俺は「可愛い!」と叫んで、二人を抱きしめた。

「おかーさん?」
「早くお父さんに見てもらわないとね。脱いだらだめだよ」
「はーい」

 二人が声をそろえて返事をするのを聞いてから、カボチャのランタンを用意して、電気を消した。子供達がかぼちゃに夢中になっている間に、セフィロスの部屋へと向かった。





「セフィロス、入るよー?」

 セフィロスの声を聞いてから、部屋のドアを開ける。
 鏡の前でマントをまといながら、セフィロスは首を傾けていた。鏡越しに俺と目を合わせたセフィロスが笑顔を見せる。
 鏡の中のセフィロスはドラキュラさながらのいでたちで、俺の心臓が急激に活動を始めた。体の内側から激しくドンドンと叩かれているような衝撃。

「ドラキュラが却下だったから、シルクハットとステッキで…」

 そう言うとセフィロスは俺の右手を取った。

「貴方を迎えに来ました。さあ、あちら側へ…」

 俺の目の前で深くお辞儀をしているセフィロスを見て、気が遠くなりそうになる。

「…し、死神……?」
「そう」

 セフィロスはシルクハットをかぶりながら、簡単な返事をした。
 セフィロスが死神だったら、予定より早くても一緒に行ってしまいそうじゃないか。俺を殺す気かよ。
 昨日の仮装、死神じゃなくてよかった。連れて行ってください、って何人の人に言われていたことか。ドラキュラだった時は、どうぞ私の血を…って言われてたもんなぁ。

「…セフィロス、ダメだよ…」
「何が?」
「…かっこよすぎ…」
「素敵な褒め言葉をどうも」

 口元でにやりと笑うセフィロスを見てから、ゆっくり目を閉じた。
 唇が塞がれて、きつく抱きしめられる。
 セフィロスに抱きしめられている感覚はすごく好き。でも…。
 俺はセフィロスから離れた。

「子供達が待ってるよ」
「お前は何するんだ?」
「子供達と一緒だよ」
「それは、俺がつまらないんじゃないのか?」
「セフィロスのお楽しみは後ね」

 にっこり笑うと、セフィロスは一瞬たじろいだ。しかしすぐに俺に質問攻め。

「え? 何だ、それ?」
「早く降りてきてね」

 妙にうろたえているセフィロスを残して、俺は部屋を後にした。
 子供達と同じようにおばけの衣装を着て、子供達を驚かしにリビングへ急ぐ。
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