2005ハロウィン (3)
2005ハロウィン

「あー、おばけー!」

 驚かすより先に、見つかってしまった。この声はクレフだな。

「おかーさん、あまりこわくないよ」

 カインは、動じないらしい。この辺は親としては少しつまらない。まあ、わざとらしく驚かれるのも嫌なものだけれど。

「ハロウィンと言えば、合言葉が必要なんだよ」
「え? なになに?」
「トリック・オア・トリート!」
「とりっく・おあ・とりーとー?」
「そうそう。今は意味はわからなくてもいいから。そう言わないとだめだよ。お父さんに会ってもそう言うんだよ」
「うん、わかった!」
「じゃあ、言ってみて」
「とりっく・おあ・とりーと!」

 二人して声を揃えて、うれしげに声を上げている。この辺の無邪気さがもう少しカインにあればいいのになぁ。逆にクレフはいつまでも無邪気すぎる気がする。

「はい、よくできました。ちゃんと言えたので、お菓子をあげよう」

 クレフとカインに袋を持たせてやる。

「あ、おとーさん!」

 お父さん好きのクレフがセフィロスの姿に真っ先に気がついて、駆け寄っていった。おばけの視界の狭さにも慣れたらしい。カインもその後に続いて、セフィロスの前に並んでいる。

「おとーさんはなにのかっこう?」
「何に見える?」
「よく…わからない…」
「そうか、わからないか。まあ、大きくなったらわかるかもな」

 クレフの頭を撫でながら、セフィロスは笑っていた。俺に見せる顔と何だか違うんだよな。

「おとーさん、おとーさん、とりっく・おあ・とりーと!」
「とりっく・おあ・とりーと!」
「おお、よく言えたな。では、これをあげよう」

 セフィロスはクレフとカインの袋に何か入れていた。何か用意していたらしい。後で何を入れたのか聞いてみよう。

「二人とも、もう脱いでもいいぞ」

 クレフとカインは白い布を取ると、袋の中をがさがさ見ていた。

「たべていーい?」

 袋の中身がお菓子だとわかったらしい。クレフが俺のところによってきて、聞いてきた。

「もう遅いから明日。そろそろお休みの時間だぞ」
「はーい。おやすみなさーい」

 クレフは俺に袋を渡すと、パタパタと二階へと上がっていった。本当に素直に人の言う事を聞く子だ。感心してしまう。

「じゃあ、ぼくもねる」

 カインも俺に袋を手渡すと、目をこすりながら、階段を登っていった。途中つまづきそうになっていたので慌てたが、そのまま自分の部屋へと入っていった。





「お疲れ」

 声に振り返ると、セフィロスはソファーに座って、俺を見ていた。死神の衣装のまま、俺を見ているセフィロスは、俺の準備を待っているようで、これもハマり役かな。でも、きっと何でもハマるに違いないんだけどね。

「セフィロスもね」
「俺は別に…」
「昨日大変だったのに、ごめんね」

 お化けの格好のまま、セフィロスの隣に座る。

「子供達のためだからな。お前が謝ることではないだろう?」
「やさしいね、セフィロスは」
「そうか? それより、お前はずっとその格好でいるのか?」
「ああ、これね。もちろん脱ぐよ。セフィロスの姿がちゃんと見えないし」

 俺はそう言うと、立ち上がって、白い布を横に落とした。
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