嘘とミルクティ
嘘とミルクティ

「クラウドに似ていたな」
「誰が?」

 クラウドはセフィロスの鎖骨に指を滑らせながら、呟くように問いかけた。

「昼間の子だ」
「ああ、アネットちゃん……って、え? 俺が似てるって!?」

 驚いて、ばねが跳ねるように飛び起きたクラウドの姿に、セフィロスが苦笑する。

「そう、似てる。目のくりくりっとしたところとか…」
「俺、そんなに目は丸くないと思うけど…」
「いや、今の姿じゃなくて、女の姿のときの話」
「ああ、なーんだ」

 クラウドは身体の力を抜いて、パタリとまたセフィロスの身体の上に倒れこんだ。

「でも、あの子みたいに可愛くはないと思う」

 月に一度女の姿になるが、クラウドは別に自分が可愛いと思ったこともなければ、もてると思ったこともない。その姿で街を歩けば振り返られることもあるが、それはセフィロスが一緒だからだ、と思っている。

「俺は可愛いと思ってるが?」

 耳元で囁かれて、クラウドは身体を震わせた。その反応を待っていたのか、セフィロスはクラウドをぎゅっと抱きしめてくる。

「…そ、それは……どうも……」
「もうちょっと喜べないのか?」
「わ、悪かったね、どうせ素直じゃないよ」

 セフィロスとの距離を開けようと、クラウドはもがいてみたが、セフィロスによる拘束は簡単には解けなかった。
 背中をなぞるセフィロスの指先の動きに、思わずクラウドは声を漏らしてしまう。さっきイカされたばかりの身体は過敏に反応する。

「…そういうところも可愛くて好きだが?」
「あー、もう!」

 好きだと言われるのは嬉しくて仕方ないのに、ありがとうと言えず、怒った振りをしてしまう。
 そっぽを向いたままでいるクラウドの頭を撫でながら、セフィロスはクラウドの名を呟いた。

「何?」
「もし、クラウドがあの子の立場なら、脅迫状を書いたか? あんな嘘の脅迫状を出そうとしたか?」

 クラウドは身体を起こして、セフィロスの表情を伺った。少し不安の色が見え隠れする瞳に、クラウドは胸がちくっと痛んだ。
 この人の不安を解消できるのは自分だけだと自負しているけれど、全てを拭い去ることができない。それがクラウドには悔しかった。
 でも、一時的に忘れさせることは出来る。
 クラウドはそう自分に思い込ませて、笑顔を見せた。

「出したと思う。それでセフィロスに会えるなら、話が出来るなら、ね」

 クラウドはセフィロスの頬に触れて、軽く口付けを落とす。

「クラウド…」
「覚えておいてくれ。俺はセフィロスのためなら、セフィロスを側に置いておくためなら、どんなことだってする。全世界を敵に回すような嘘だって、ついてみせるさ」


END
ここまでお付き合いありがとうございました!
少しだけ強気のクラウドを書いてみようと思って書いてみたのですが、あまり強気になりきらなかったなぁ、と(反省)。
でも、クラウドの『セフィロス大好き』っぷりが出てればいいなぁ、と思っております。
そろそろ甘々の神様(いるのか?)に降臨してもらわなくては!
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