お年玉 (3)
お年玉

「これが俺からのお年玉。明日の昼までは、二人きりだよ。どうしたい?」
「…ずっと抱き合っていたい…」

 セフィロスの低い声は、俺の脳を蕩けさせる薬を含んでいる。

「俺もそういうお正月もいいな、と思ってた……」





「ああ…っ」

 俺の中からずるりと引き抜かれる感覚は、セフィロスの指が俺の奥から離れたということ。
 これから変わりに侵入してくるものが何かわかっている俺は、セフィロスの手を軽く掴んだ。セフィロスは軽く笑って、俺の手をよけると、俺の腰を抱えなおした。
 抱き合っていたい、と呟いたセフィロスは、すぐに俺の服を全部脱がしにかかった。上半身が裸になったところで、ソファーに押し倒され、下半身も何も纏わぬ状態にされてしまった。
 そこから、セフィロスは何も言わずに俺を責め始めた。体中をセフィロスの舌が這って、俺はいつもより高い声をばら撒きながら、セフィロスと一つになる瞬間を待っていた。
 その瞬間が訪れようとしていたその時だった。

「うわっ! くすぐったい!!」

 ソファーから床に垂れている俺の指先から手のひらにかけて、何かが動いたのだった。

「俺は何もしてないぞ」
「セフィロスが何もしてないのはわかってるよ。俺の手の先……」
「手の先?」

 セフィロスは抱えていた俺を降ろすと、ソファーの下を覗き込んだ。

「…ああ、にゃぁーか……」

 俺のところににゃぁーが寄って来たということは、お腹が空いているのだろう。この状態でにゃぁーのお昼ごはんを作ることになろうとは。

「…どうする?」
「何を?」
「にゃぁーを待たせるか?」
「ええっ!」

 いや、そりゃ、気分的には何とも言えない気分なわけだけど、じゃあ、そのまま続きをっていう気分にもなりにくい……。

「……先にお昼ご飯をやるよ。セフィロスはお腹空いてない?」

 セフィロスはむっとした顔のまま、首を振った。きっと俺がにゃぁーを優先したのが気に入らないのだろう。セフィロスは別格だって言ったのを忘れてるな。
 俺は息を吐き出してから、セフィロスに軽く口付けた。

「先ににゃぁーにご飯をあげないと、この先ずっと邪魔されるだろ? セフィロスが食べたいものはわかってるし、それはゆっくり味わってもらいたいから、ちょっと我慢して」
「仕方ないな。寝室で酒でも飲んで待っておくとしよう」
「すぐに追うよ」

 俺は床にばら撒かれた下着や服を手早く身につけて、キッチンへと向かった。冷蔵庫の中はお正月用食材ばかりでにゃぁーが普段食べてるようなものはなかった。

「数の子あげると、舌が肥えそうだしなぁ…」

 俺はしょうがないときのために買ってあるキャットフードの缶を開けて、皿に移した。 その皿をリビングのソファーで転がっているにゃぁーの前に差し出す。
 にゃぁーはおいしそうに食べ始めたので、俺は急いで寝室へと向かった。





 寝室の扉を開けた瞬間、煙草の香りが漂ってきた。
 セフィロスはベッドに腰かけて、煙草をふかしつつ、お酒を飲んでいた。昨日からの飲酒量は普通の人の何倍なんだろう…。

「にゃぁーは?」
「よっぽどお腹すいてたみたい。一心不乱に食べてた」
「そうか」

 セフィロスは煙草をもみ消すと、グラスに入っていた酒を飲み干した。空になったグラスに再度酒を注いで、また飲み始めている。
 俺は服を脱ぎ捨てながら、ベッドのセフィロスまで近寄った。上半身裸になっている俺を目の端で捕らえたセフィロスは、口元だけで笑った。
 セフィロスの正面に立って、セフィロスの肩を両手で掴む。それが合図のように、セフィロスの腕が俺の腰に回されて、引き寄せられる。
 セフィロスのため息の出るような端麗な顔を見下ろして、笑顔を見せる。

「お待たせしました」

 俺はそう言って、セフィロスの唇を塞いだ。
 セフィロスの舌がすぐに入ってきて、俺の口の中を動き回る。この間に俺の脳はだんだん蕩けていくのだ。
 セフィロスが急に後ろに倒れて、俺はセフィロスの上に乗っかる形になった。

「…やん…、セフィ…」

 セフィロスの手が下着の中に入ってきて、俺の双丘を撫で始める。撫でるセフィロスの指先に反応して、体が小刻みにぴくんと跳ねる。その様子がおもしろいのか、セフィロスは喉の奥で軽く笑った。

「…笑うこと…ない…だろ…」
「まだ、俺が笑ったりしたことがわかるという状態ってことだな」

 セフィロスは自分の左手の指先をこれ見よがしに、舐め始めた。俺と目を合わせたまま、わざと舌を見せつつ、指先を舐めている。俺は思わず目を反らしてしまった。次に何が待っているのかわかった俺は、恥ずかしくなってしまったのだ。
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