お年玉 (2)
お年玉

「クラウド! 一体、どういうことだ?」
「ごめん、後で説明するから」

 かなり怒っているらしいセフィロスの腕を振り切って、カインとクレフをザックスが待つ玄関へと連れて行った。

「だんな、怒ってるみたいだな」
「…俺が説明してなかったから…」
「でも、それはだんなの…」
「大丈夫だ」

 ザックスの言葉を途中で切るように、俺は声をかぶせた。

「それよりも、本当にごめん。せっかくの正月なのに」
「いいってことよ。その代わりの約束、忘れんなよ!」
「了解した」
「じゃ、二人とも行こうか」

 はーい、と元気に返事をする二人を連れて、ザックスは家を後にした。





「説明してもらおうか?」

 リビングに戻った俺に投げつけられたセフィロスの言葉。
 怒っているのは明らかだった。

「ザックスに二人を預けたこと?」
「そうだ。今日は初詣のはずだっただろう?」
「そうだよ。だけど、俺はセフィロスの本心を聞いてしまったからね、そういうわけにはいかない」
「本心?」
「そう、本心」

 俺はセフィロスの横にわざと大きい動作で腰を下ろした。

「それとも、あれは酔っ払ってて、言ったことさえ覚えてない、とか言う?」

 セフィロスの視線が、天井に移動する。記憶を辿っているのだろう。

「…まさか…、あの…正月の過ごし方の…ことか…?」
「さすが。覚えてたね」
「あれは気にするなっていったはずだ!」

 セフィロスは俺の手を思い切り掴んできた。

「嘘ばっかり!」
「俺がいつ…!」
「今だよ! 気にして欲しかったくせに! 子供達に悪いと思ってた? 優先順位が一位であるはずの子供達以上に優先したいものがあることを、セフィロスは許せないでいるのか?」
「クラウド!」

 セフィロスが手にさらに力をこめてきて、俺の指先が徐々に痺れてくる。

「何だよ! 図星だろ! それとも、それを見抜いて、ザックスに子供達を預けた俺が許せない?」
「クラウド、お前……」
「どうして、見抜けたかって? そうだな、いつもはセフィロスの考えを見抜けないのにな」

 俺は掴まれていたセフィロスの手を振り払って、セフィロスの胸倉を掴んだ。

「馬鹿にするなよ、って言いたいところだけど、今回は俺と同じだからな」
「同じ…?」
「そう。俺の中で優先したいもの。子供達とは比べられない。別格のところにあるもの。それが同じようにセフィロスの中にもあったってこと」

 セフィロスは俺の目を見たまま、いつもより多めに瞬きをしている。きっと、話がまだ飲み込めていないのだろう。
 俺は胸倉を掴んでいた手を離して、大きく息を吐き出した。

「全部説明するのは俺自身が恥ずかしいんだけどな。俺の中にある別格のものがセフィロスであるように、セフィロスの中にある別格のものが、きっと……、セフィロス!?」

 いきなり抱きしめられて、声が裏返ってしまった。

「…そうだ。俺の中にある優先順位の一位を子供達にすることが最良だと俺はずっと考えていた。だが、それでは、俺の中では納得がいかない状態になっていたんだ」
「セフィロスらしくないな。大丈夫だよ、自分の気持ちを優先したって」
「クラウド…、俺は……」

 俺はセフィロスの背中を抱きしめるように、腕を回した。セフィロスの胸元に頬を寄せる。
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