2005 クリスマス (1)
2005 クリスマス

 白い雪が少しずつ舞い始め、外の気温が急激に下がってきたことを伝えている。
 部屋の中では子供達がツリーに飾り付けをしている。星、雪の結晶、雪だるまなどのモチーフ、赤や金、銀のモールなど、色とりどりに光っている。

「お父さん、おほしさまをつけて!」

 クレフが俺の側に大きな星を持ってきた。どうやらツリーのてっぺんにつけて欲しいらしい。

「この星はてっぺんでいいんだな?」
「うん、一ばん上につけるの」

 クレフの言うとおり、星をつけてやると、クレフは手を叩いて喜んだ。

「おにーちゃん、できあがったよー」
「かざりわすれてるものもないし、いいかな」

 カインがツリーの周りを回って、確認する。双子なのにこれほど性格に差が出ているのは珍しい気もするが、俺に似ているカインと、クラウドに似ているクレフでは性格が違っているのも当然か。

「じゃあ、おかーさんにみてもらわなくちゃ!」

 クラウドの側へ駆け寄ろうとするクレフを後ろから抱えあげる。

「お父さん?」
「お母さんは今お料理をしてるんだ。クレフの好きなケーキを作ってるはずだから、お父さんと遊んで待ってよう」

 クレフを抱っこしなおしてやると、俺にぎゅっとしがみついてきた。

「うん、遊んで待ってる!」

 クレフの笑顔がクラウドとかぶって、一瞬ドキッとする。クラウドに似すぎているのも問題ありだな。

「ほら、カインもおいで」

 カインは無言でうなずいた。俺をライバル視しているカインはあまり俺の側に寄って来ようとはしないが、声をかけたりすると寄ってくるので、一人はあまり好きではないのだろう。寂しがりやなのだと思う。

「お父さん、ジェンガ、へただなぁ」
「もっかい、もっかい」
「はいはい。今度はお父さんが勝つぞ」

 子供達と一緒に木の棒を積みなおす。こういうのはわりと得意だったと思っていたんだが、うっかりしてると、崩れてしまう。

「悪いけど、今度はないかも」

 俺の頭上から声がする。見上げるとクラウドが笑っていた。

「どういうことだ?」
「勝負は次の機会にして。ご飯ができたんだ」
「ああ、そういうことか。仕方ないな」

 俺は子供達と共にテーブルへと急いだ。





 テーブルの上にはいくつもの皿が並べられていた。野菜たっぷりのサラダ(もちろん、にんじんは☆形)や、ローストチキン、フライドポテト、スープ、☆の形のパン、子供達が喜びそうなものばかりである。

「おほしさまー、おほしさまー」
「今日はクリスマスだからね、お料理も楽しいものにしてみた」

 料理を色々眺めてはしゃいでいるクレフに向かって、クラウドは笑いながら言った。昼間からキッチンにこもりきりだったのは、これだけの料理を作るためだったんだな、と改めて感心する。子供達をキッチンに近づけるな、と言っていたのも、この料理を見せて驚かせるためだったのだろう。

「たべるのもったいないねー」
「食べない方がもったいないから、ちゃんと食べるんだよ。ちゃんと食べないとサンタさんはプレゼントくれないぞ」
「いっただきまーす」

 カインとクレフは声をそろえて言うと、料理を一生懸命食べ始めた。サンタさんからのプレゼントが相当楽しみらしい。
 酒を飲みながらその光景を眺めていると、微笑ましくて思わず笑みが浮かんでしまう。

「セフィロス、いいお父さんって顔してるよ」
「そ、そうか?」
「うん、やさしい顔してた。俺が……、まあ、いいや」
「クラウド…?」
「ほらほら、クレフ、急いで食べなくてもいい。こぼしちゃうぞ」

 俺の問いかけにクラウドは答えずに、クレフやカインの世話をし始めた。
 何を言いかけて、途中でやめたのか気になったが、クラウドにこれ以上追求することはできなかった。
 子供達が一生懸命ご飯を食べた後、テーブルにはケーキが運ばれてきた。丸太をかたどったケーキである。ブッシュ・ド・ノエルというそうで、クリスマスの定番ケーキらしい。これもまたクラウドが作ったものらしく、カインとクレフはうれしそうに、ケーキをほおばっている。このときばかりは自分が甘いものが苦手だというのが恨めしい。

「おとーさん、ジェンガのつづき、しよ」

 カインはケーキをすっかり食べ終わっていて、早く遊びたくて仕方がない様子だった。カインのほうから俺を誘ってくるのは珍しい。

「ああ、じゃあ、リビングに行こうか」
「ぼくもあとからいくよー」

 クレフはケーキのクリームを頬につけながら、フォークを振り回している。

「わかった。ちゃんと食べてから来るんだぞ」
「うん!」





 その後、ジェンガはクレフが眠いと言い出すまで続けられた。カインが上手くて、俺はカインにまけてしまった。
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