2005 クリスマス (3)
2005 クリスマス

 別の人だと思ってるな、これは。俺の大事な人って他にいるわけないんだが。

「俺の隣に座ってる」
「え?」
「だから、俺の隣に座ってる人、つまり、クラウドのことだ」

 クラウドがまだ目を丸くしている。予想外の答えだったんだろうか。俺が今までクラウドに言ってきた言葉は何だったんだろう…と不安になる。

「信用できないのか?」
「い、いや、あ、あのね」
「何だ?」
「俺、プレゼントもらえるって思ってなかったから、肝心な人って俺は対象外だと思ってしまった…」

 今まで何が欲しいか尋ねても返ってくる答えはいつも同じだったし、それならばと思って今年はあえて何も聞かなかった。それがプレゼントをもらえないと思ってしまった原因なのだろうか?

「もしかして、今年、何も聞かなかったからか?」
「…うん…。何も聞かれなかったから、てっきり俺にはないと思ってた。だから、肝心な人っていうのも俺じゃないと思っちゃった…」
「で、俺にはクラウド以外に別に大事な人がいると思ってしまったと?」

 クラウドは視線を床に落とした。唇をかみしめていて、反省しているのはよくわかる。

「仕方ない。では、用意していたプレゼントはなかったことに」

 だが、思わず、いじめてしまう言葉がでるのはどうしてなんだろう。

「えー! 欲しい!」

 クラウドは俺の腕にすがって、ごめんなさい、と謝った。謝る話でもないし、俺が初めに「クラウドにプレゼント」と、はっきり言わなかったのも悪いのだ。ただ、気づいてくれるだろう、と思っていたのに、気づいてもらえなかったのは残念だったが。

「でも、お前が欲しいものじゃないかも知れないだろ?」

 クラウドは首を横に思い切り振った。こういうときはリアクションが大きい。子犬のような感じがして思い切り抱きしめたくなる瞬間だ。

「セフィロスがくれるものだったら何でもうれしいよ」
「ほお。では、背の高いサンタなんかはどうだ?」

 クラウドの目を見て、口元だけで笑う。クラウドは笑みを浮かべると、俺にしっかり抱きついてきた。

「ほんとにもらっていいの?」
「クラウドがそれでいいっていうのなら」
「…それがどうしても欲しい…」
「では、差し上げるとしよう」
「ありがとう! あとね、サンタさんにお願いがあるんだけど…」
「お願い?」

 クラウドはうなずいてから、俺の唇を軽く塞いだ。

「…そう、お願い。続きは寝室でね」





 先に寝室へと走っていったクラウドの後を追って、俺も寝室に入る。雪はいつの間にか止んでいて、月の明かりが部屋の中を照らしていた。
 後ろ手で部屋の扉を閉じた俺のところへクラウドは歩み寄ってきて、ごめんね、と軽く笑った。

「なぜ、謝る?」
「セフィロスサンタはいつも俺の欲しい物をくれるし、俺を安心させてくれているのに、すぐに俺は何もかもが不安になって、セフィロスを困らせちゃうんだよね」
「俺が不安にさせているのだったら、俺が謝らなくてはいけない」
「違う。俺がきっと貪欲なだけ。セフィロスの言葉や、身体をもらって、いくら感じてても、すぐ足りなくなっちゃうんだと思う」
「では、いくらでも求めてくれればいい。それ以上、差し出してやるさ」
「…やさしすぎ…」

 クラウドは俺にもたれかかるように、身体を寄せてきた。

「やさしいかどうかはわからないがな」

 クラウドの顎に手をやって、上を向かせる。クラウドはねだるような目つきで俺を見つめている。

「やさしいのも、イジワルなのも、俺は知ってるよ」
「どちらのサンタがお好みだ?」

 クラウドは考えるように目を閉じた。少しして、目を開けると、俺の頬に手を当ててきた。

「…両方欲しいかも…」
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