meet again (6)
meet again

「だから、場所と状況の問題だと」
「それはわかった。だったら、今はいいだろ?」

 俺は上着のジッパーを、胸の辺りまで下げた。鎖骨の辺りを指でなぞる。
 セフィロスは俺を抱き寄せると、俺が指先でなぞった位置に唇を押し当ててきた。

「…これでいいのか?」
「消さないようにしてね」
「…お安い御用、と言いたいところだが…」
「ああ、この先のことなら心配しなくていいよ」
「え?」

 セフィロスは自分が想像していなかった答えが返ってくると、本当にびっくりする。声を上げて聞き返してくるときは、大体そう。

「…きっとみんなわかってると思うし。ミッドガルやエッジから離れた場所で、二人で暮らそう?」
「簡単に言うが…」

 何かを気にしているセフィロスの唇に指先で触れた。

「セフィロスさんに質問! はいかいいえで答えること」
「はい」

 人の話の飲み込みは相変わらず早い。

「セフィロスさんは、クラウドさんと一緒に暮らしたいですか?」

 セフィロスは黙っている。俺の目を見たまま、何か考えているようだ。じっと一点を見つめているときは、脳がフル回転している証拠だ。

「沈黙はダメだよ。どっち?」
「…はい…」

 セフィロスの返事に俺がにっこり笑うと、セフィロスは意外そうな顔をした。

「じゃ、大丈夫だろ。俺はセフィロスと一緒に暮らしたい、セフィロスは俺と一緒に暮らしたい、それを実行に移せばいいだけなんだから。心配することなんて一つもないって」
「クラウド、俺は……」
「その続きは何? 謝罪だったら聞かないよ」
「…いや、いい……」
「謝罪だったんだな。もう、困った人だな。さて、まずは今日の宿を探すかな」

 大きく伸びをして、空気を吸い込む。
 新しい日々が来た喜びと、これからの希望を胸いっぱいに詰め込むように。

「クラウド!」
「な、何?」

 セフィロスの真剣な目に、ドキっとする。心拍数がさっきの倍以上になってるみたいだ。

「好きだ」

 一瞬で全身の血液が頭に上ったようだ。絶対耳まで真っ赤だな。

「もう! さらっとうれしいこと言うのは変わらないな」

 軽く頭を振って、頭に上りきった血を下げようとしてみる。なかなか落ち着かない心臓にも、落ち着けと言い聞かせる。

「セフィロスがここにいて、俺のことを好きだといってくれて、俺は幸せだよ。あとは、昔みたいに、セフィロスに抱かれて眠れたら、もっと幸せだね」
「…クラウドは誘うのが上手くなったな…」

 口元だけを上げて軽く笑う、セフィロスの悪魔のような笑みは健在で。
 その笑いに俺は何度となく、屈してきたわけだけど。
 離れている間に、免疫がついたりすることはなくて。
 やっぱり、俺は心臓を貫かれてしまう。
 この先、俺は何かあるごとにこのセフィロスの笑みに屈することになるだろうことを想像して少しめまいを覚える。
 だが、それは、俺にとっては幸せなこと。
 その幸せをこの先味わえるのかと思うと、うれしくてしょうがない。

 俺が愛する人が側にいて、俺を愛してくれる人が側にいて。

 これから二人はずっと一緒で。

 同じベッドで同じ夢を見、

 朝日を浴びる。



 例えようのない喜びと幸せを胸に。



 愛する人に口付けを捧げる。


END

BACK