meet again (3)
meet again

 俺はハイポーションを口に含むと、セフィロスに無理やり口付けた。ハイポーションを飲み込んだのを確認して、唇を離す。

「…ごめん、俺、マテリアがないんだ。セフィロス自身が回復魔法をかけてくれるかどうかにかかってる。お願いだから、魔法…かけて……」

 懇願するように、俺はセフィロスに抱きついた。
 そのまま、セフィロスが魔法をかけなければ、セフィロスは本当に俺の元から去ってしまう。こんな状況で何もできない俺が、本当に腹立たしかった。
 セフィロスをこの上なく必要としている俺が、救うことすらできないなんて。
 耳元でセフィロスが小さく何か呟いたのは聞こえたが、その後、しばらくは何も反応がなかった。

「…クラウド……」

 低い声が耳元で聞こえたのは、どれぐらい経ってからだろう。

「セ、セフィロス……」
「…この選択がよかったのか悪かったのかは俺にはわからない…」

 セフィロスの傷はすっかり塞がっていて、瀕死の状態にいたとは思えない様子だった。

「セフィロス…、魔法…、かけてくれたんだ……」
「俺はお前に詫びる必要がある…」
「…その理由だけ……?」

 俺への懺悔心だけで、回復したのだろうか。そうだとするならば、セフィロスの心の中には俺に対する思いはないということになる。セフィロスが側にいるという幸せは手に入れても、それは本当の幸せにはほど遠い。

「確かに、悪いと思ってるなら俺の側にいて、って言ったのは俺だ。だから、セフィロスは回復したのか? 俺に詫びるためだけに? それがセフィロスの本心?」
「本心?」
「俺はセフィロスの側にいたい。だけど、セフィロスが俺を嫌いであるとすれば、それはどちらにも苦痛でしかない…」
「…俺にはその思いを言う資格がない…」
「資格?」
「俺はお前を傷つけたし、殺そうとした」
「…でも、殺さなかっただろ。資格とか、そういうのはどうでもいい。俺はセフィロスの今の本心が聞きたいだけ。俺が嫌いなのか、そうでないのか。単に、懺悔のためだけに俺の側にいようとしているのか」
「クラウド…」

 セフィロスは腕を伸ばして、俺をしっかりと抱きしめてきた。こうやって抱きしめられる感覚はものすごく好きだった。幸せをこの上なく感じることができていたから。
 ただ、今は、心臓の音が聞こえないかどうか、はらはらしていた。俺の心臓は今にも飛び出しそうなぐらいに、活動していた。

「…クラウド、俺は…、お前を手放したくない…」

 セフィロスの一言一言が、俺の中にじんわりとしみこんでくる。乾ききっていた俺の心が潤されていく。

「セフィロス…」
「好きだ、閉じ込めておきたいぐらいに…」
「…じゃあ、そうして…。もう二度と俺の側から離れないで…」
「お前はこの俺でいいのか…?」
「セフィロスがいい。セフィロスの側にいたい。セフィロスに側にいて欲しい。それだけだよ」

 セフィロスの唇に唇を重ねて、舌を差し入れる。セフィロスの舌を絡め取って、深い、長いキスを繰り返す。
 慣れていた感覚が俺の奥のほうに火をつけて、身体全体が熱くなってくる。

「…ダメだ…俺……」
「クラウド…?」
「今…すぐ……」

 俺はズボンのジッパーに手をかけた。セフィロスを欲している俺は繋がりたくて、どうしようもない状態にいた。

「待て、クラウド」

 セフィロスの指先が俺の手を掴んで、制止した。

「…だって…」
「飛空挺で待っている仲間がいるんだろう? これ以上待たせて平気なのか?」
「また、変なところで気を遣う!」

 俺はセフィロスの手を振りほどいて、崩れた壁にもたれているセフィロスの前に立った。
 セフィロスは不思議そうな顔で俺を見上げている。

「…俺が今考えてること、わかる…?」
「…いや……」
「うーん、離れてる時間が長すぎたか。まあ、それは今からでも取り戻せるよな」
「取り戻す?」
「そう。俺の考えなんかお見通しだったセフィロスが、今の俺の考えを読めてないみたいだから、その感覚を取り戻すのは今からでもいいかな、と」

 膝を立てているセフィロスのその膝を軽く押さえて、足を伸ばしてもらう。その足をまたいで、俺は膝をついた。
 まだ、俺の視線の方が高い。セフィロスは俺を見上げたままだ。

「ほんと、読めないって顔してるなぁ。しょうがないな」

 俺はセフィロスの頬に手の平で覆うように触れた。
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