meet again (1)
meet again

 肩に鋭い痛みが走る。
 セフィロスの正宗は、標本の蝶を止める虫ピンのように、俺を崩れた瓦礫に止めている。
 この人は相変わらず、何も感じないといった顔で冷酷に貫いてきた。
 俺とセフィロスの間にお互いに持ち続けていた想いなんていうのは、もう、忘れてしまったのだろうか。

「…セフィロス…」
「…相変わらず、扇情的な瞳をしてるんだな、お前は…」
「…っ!」

 刃がさらに肩に食い込む。
 俺を傷つける、いや、殺すことさえも何とも思わないのだろう。
 それを悲しいとは思わない。
 セフィロスがそう望んでいるということだ。
 でも、それは俺が望んでいることではない。
 二人の間には、どうしようもない、ずれが生じてしまったのだ。
 その大きなずれは、どうあがいても、修復不能だと思われた。

「…悪いな、クラウド…。これで最後だな…」
「…悪いけど、そうですか、って言えないな…」
「最後の最後まで、あがくつもりか。それもいいだろう…。すぐに殺すのも惜しい。すこし、楽しませてもらおうか」

 セフィロスはシエラ号の方に振り返ると、不敵に笑った。

「死ぬ前に、昔を想いだしてみるのも、いいだろう?」

 セフィロスは俺の前にしゃがむと、俺の顎を掴んで、上を向かせた。
 重なった唇の感覚は、昔とは変わらなかった。
 …変わらないのに、ここにいるのは、もう、俺の知らない人だ…。

「…ここだと、あいつらに見られるだろう…。場所を変えてやろう」

 正宗を引き抜こうとするセフィロスの腕を掴んだ。

「…そんなところだけ気を遣うのか? どうせ、殺す気だろう? 好きにすればいい…」 

 セフィロスは軽く笑うと、俺の上着のジッパーを少しずつ下ろし始めた。その後を追うようにセフィロスの視線が下がっていくのが感じられる。
 最後までジッパーを下ろしたセフィロスの手は、俺の上着を両脇に払いのけた。何も遮るものがなくなり、俺の上半身はセフィロスの前に無防備にさらけ出されている。
 昔なら気にならなかったセフィロスの視線も、今はすごく恥ずかしい。俺は目を閉じるしかなかった。
 2年の歳月は、やはり大きかったらしい。
 セフィロスの舌が首筋から鎖骨を滑り、胸の周りを円を描くように移動する。俺が思っているよりも身体は正直に反応していた。こんなことだけで俺は肩を揺らし、自ら、肩に正宗の刃を食い込ませている。

「…っああっ!」

 乳首を舐め上げられたせいで、さらに肩に激痛が走る。

「…昔から感じやすかったが、今日は見られてるから余計に感じるのか…?」

 嬉しそうな、それでいて、おもしろくもなさそうな風にセフィロスは呟いた。

「…わかってないな…。セフィロスの姿をしてるけど、セフィロスじゃないんだな、やっぱり…」
「…どういう意味だ…?」
「…わからなかったらいいさ…。さあ、タイムリミットが迫ってる。セフィロスに意識を飛ばされる前に、意識をなくしそうだけど、いい…?」

 肩が心臓になったように、どくどくと脈打っているのがわかる。腕の感覚はほとんどない。
 セフィロスは俺のズボンに手をかけると、俺の腰を浮かせるようにして、下に引き摺り下ろした。
 もう、恥ずかしいという思いも浮かんでこなかった。
 血液が流れるわき腹を、セフィロスの指がすーっとなぞる。それに思わず反応してしまい、さらに血液を流れさせてしまう。

「…さて、少しは覚醒してもらおうか。だが、その後は責任持てないがな…」

 見てはいなかったけれど、きっと、俺の知っているあの口元を軽くゆがませた、冷たい笑いをしているのだろう。

「…ああぁぁ…っ!」

 俺の入り口から指が挿入される。その衝撃に俺は身体を捩り、そのせいで肩から全身へ痛みが流れる。セフィロスの言うとおり、一瞬、覚醒したが、すぐ意識は遠くへ行きそうになる。
 セフィロスの指が俺の中で動き始める。セフィロスの指先は俺の弱いポイントを外すことなく責めてくる。その感覚は俺とセフィロスの想いが同じだったとき、それは昔のことだけど、そのころと違いがなかった。

「…あ…っ、はぁ…っ」

 そのせいか、俺の脳は『俺が好きだったセフィロス』に抱かれていると錯覚を起こしている。そうなると、この身体は抑えが利かない。
 中でうごめく指先に、この上なく感じて、声を上げてしまう。誰が見てようと関係なくなっていた。もう、俺とセフィロスの世界だった。
 でも、それは架空の世界だったと、快楽から解放された瞬間に、気づかされた。

「…クラウド、泣くほど怖いのか…? この先のことが…?」
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