meet again (5)
meet again


 ◇◆◇

 あの時、俺は意識を手放すときに、セフィロスに倒れこんだはずだった。
 なのに、なぜ、俺は今ベッドに寝ているんだ。
 しかも、俺が見ている天井はよく知っている天井じゃないか。

「気づいた?」
「ティファ……」
「びっくりしたよ。クラウド、倒れてたんだもん」
「…倒れてた……?」
「そう、周りに誰もいなかったし、もう、終わったの……?」
「…ああ、終わった……」

 いや、何も終わってない。俺の中では何も終わってない。新しい何かが始まろうとしていたはずだ。それなのに、どうして俺はここにいる…?

「よかった。これ、クラウド宛ての手紙みたい。ポストに入ってた。ただ、差出人ないんだけど……」

 ティファから封筒を受け取った瞬間、俺の中に流れてくる感覚。鼓動が早くなる。

「お店の準備があるから、下に降りてるね」

 ティファが階下に降りたのを確認してから、封筒を破る。
 中には便箋が一枚、ただ「神羅ビル」とだけ書かれていた。
 俺は慌てて身支度を整えると、部屋を飛び出した。階段を駆け下りている自分がもどかしい。足を早く動かしているつもりなのに、前に進んでいないようだ。

「クラウド…!?」

 ティファの呼びかけに、「ごめん」とだけ言い残して、店を飛び出した。



「セフィロス……」

 崩れた神羅ビルの側で呟いた。

「読んだのか?」

 背後から響く声。

「…読んだから来た…」
「ちゃんと挨拶してきたのか…?」
「…ああ…」
「せっかく時間をやったのに。相変わらず嘘が下手だな、クラウドは」
「またそんな気を遣う。挨拶してる時間なんてあるわけないだろう! そんなことしてて、セフィロスがいなくなったら…、俺……」
「悪かった…。だが、探しに来ているだろうクラウドの仲間と顔を合わせるわけにはいかないだろう?」
「…でも、だからって…」
「クラウド…」

 後ろからそっと抱きしめられて、肩をゆらしてしまった。

「俺を必要としてくれていて、よかった…」

 耳元に流れてくるセフィロスの声はやさしくて、俺には甘い薬だ。

「…バカだな…。俺は昔からずっとそう言ってたのに…」

 俺はセフィロスの手を解いて、セフィロスに向き直った。セフィロスは何となくうれしそうに笑みを浮かべている。

「…どうした…?」
「セフィロスにとって、俺は必要…?」
「当たり前だ」
「よかった。もう二度と離れないし、離さないよ?」

 俺はセフィロスの腕を掴んだ。セフィロスはまだ笑っている。だいぶ見てなかった笑顔のはずだけど、懐かしいとは思わなかった。つい、2、3日前にも見てたかのように記憶がよみがえってくる。

「それは俺の台詞だったりするんだが?」
「あんまりセフィロスの台詞は信用できないんだけど。さっきだっていなくなってるし」
「場所と状況の問題」
「今度いなくなったら、どんなことでもして見つけて、殺すよ?」
「了解。肝に銘じておこう」

 セフィロスの笑みを見るたびに、俺はこの人から逃れられないことを思い知らされる。

「セフィロスの物だって言う印が欲しいんだけど…?」
「印?」
「さっき、痕を残さなかっただろう?」

 セフィロスは俺の身体には一切抱き合った形跡は残していなかったのだ。身支度を整えているときに、俺はがっかりした。あれは夢だったのかと、フェンリルを走らせながら、涙を流しそうになった。
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