meet again (2)
meet again

 セフィロスに指摘されて、俺は涙を流していることに気づいた。

「…こ、わい…? 怖くて…泣いてるんじゃない…。悲しいだけだ…」
「悲しい? 何が?」
「セフィロスにとって…、俺が…どうでもいい存在になってしまったこと……」
「…クラウド…?」
「俺の気持ちは2年前で止まってる。『セフィロスが好きだ』という思いを持ったまま、止まってしまった。だけど、セフィロスは2年間進んでいて、俺は過去の人間、それどころか、どうでもいい存在になってる…。俺の思いはやり場をなくして、捨てるしかなくなった。そして、この俺自身も…」

 セフィロスは黙っている。俺は目を開けるのさえも、辛かった。
 できれば、一思いにやってくれたほうが幸せだったかもしれない。最後の最後でセフィロスを感じてしまった俺は、セフィロスに再度未練を抱くことになる。

「…俺は……」

 セフィロスはゆっくりと口を開いたが、俺はその声をすごく遠くで聞いていた。

「…ごめん、最後まで聞けそうにない…な…、殺すなり好きにしてくれ……」



「…ん……」

 生きてるのか? 死んでるのか?
 俺は状況がわからなかった。

「気づいたか?」

 聞き覚えのある声は、何を意味しているのだろう。

「肩の傷は治しておいたつもりだが、まだ痛むか…?」
「…肩…?」

 俺はゆっくりと起き上がって、肩をまわしてみた。不思議と痛みはなかった。まるで貫かれていたのが嘘のようだ。

「…気が…変わったのか…?」
「…そうだな…」

 声のするほうを見ると、黒ずくめの男が座っていた。崩れたビルの瓦礫の陰になっていて、表情は見えなかった。

「…それはよかった。この星も当分は大丈夫ってことだな」
「…安心しろ…、この星を襲うことはない…」
「…そう…」

 俺の中には嫌な予感が湧き上がっていた。それはまるで、晴天の空を覆うように黒い雲が侵食してきているのに似ていた。
 不安に駆り立てられるように、俺は黒ずくめの男の側に駆け寄った。

「セフィロス…」

 反応はなかった。

「…セフィロス…?」

 もう一度問いかけて、セフィロスの顔を覗き込む。
 彫刻のような白い顔に似合わない、一筋の赤いライン。それは唇の端から、顎にかけて描かれていた。それが何を意味しているかは、十分承知していた。

「…セフィロス…っ!」

 セフィロスの腹部には明らかに刀で貫いた痕。よく見れば、左手には血が滴る正宗が握られていた。

「な、何…、何やってんだよ!!」

 俺が声を荒げても、セフィロスは反応しなかった。
 俺は慌てて、ズボンのポケットの中を探った。
 こんなときに限って、持っているのはポーションとハイポーションぐらいだった。セフィロスの瀕死の状態に、これだけのもので効くわけがない。
 助けを呼んでいる時間などはありはしない。
 それでも、少し回復してくれれば、セフィロス自身の魔力で何とかなるかもしれない。

「セフィロス! これを…」

 セフィロスに差し出した手はセフィロスの手によって、拒否された。

「…俺が…望んだことだ…。もう…いい…」
「でも、俺は望んでない…!」
「…クラ…ウド……」
「また…、そうやって、また俺の思いを捨てさせるのか? 俺の時間を止めさせるのか? 殺されるより残酷だ!」
「…悪い…な…、俺は…こういうことでしか……詫びれない…」

 セフィロスはうっすらと笑みを浮かべた。それは俺しか知らない、俺だけに向けられていた笑顔。

 胸の奥のほうで、何かが弾ける。

 ああ…、俺は…この人でなければ……ダメ…だ。

「悪いと思うなら、俺の側にいて、2年間を埋めてくれ!」
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