幸福論 (1)
幸福論

「やあ……っ!」

 高く響く俺の声も。
 すがりつく俺の指先も。
 きつく締め付ける俺の奥も。

 この人にとっては、聞きあきたものだろうし、見飽きたものだと思う。
 もちろん、この俺の中にいる感覚も、だ。

 なのに、なぜ、この人は俺を抱くのだろう。
 俺にキスを落とし、貫き、責め立てるのだろう。

 惰性?

 欲求の解消?

 俺が求めるから?
 それに気付いて仕方なく?

 もし、そうだとするならば、俺はいつの日か……。


「ああっ、セフィ……っ!」


 もたらされるこの激しい快感さえ俺はもう……。



   求められない。



 胸の底に渦巻くもやもやとした嫌な思いはじわじわと俺の心を染める。
 消そうとすればするほど、色を濃くしていく。

 初めは声を聞くだけで心臓がドキドキしてた。
 初めて肌を重ねた時のあの喜びと感覚は今でもすぐに甦ってくる。
 それから、何度となくあの人と繋がってきたけど……。
 俺は自分の手を見つめた。
 この指先があの人に触れている時間はこれ以上増えないだろう……。





「……ウド、クラウド……?」

 俺を呼ぶ声はやたらと遠く感じて、俺は返事が出来ない。

「こんなところで寝てたら風邪をひくぞ」

 捕まえられた手を思わず払い除けてしまう。
 触れられるたびに俺とセフィロスが触れ合う回数が減る気がして……。

「クラウド……?」
「……ごめん……、俺……」

 身体を起こした俺はいきなりセフィロスに身体を抱き締められる。

「……や……だ……!」

 セフィロスの身体を押し退けようと腕を突っぱねてみたが、セフィロスはさらに強く抱き締めてくる。
 どうして……。
 もう……、俺に触れないでくれ……。

「クラウド!」
「何……?」
「どうして、そんな顔をしている……?」
「……さぁ……」

 俺がどんな表情しているかなんて俺にはわかりはしない。
 セフィロスが何かを思うということはいつもの俺ではないということか……。

「ちょ……っ!」

 いきなりセフィロスは俺をソファーに押し倒してきた。
 首筋に舌先を滑らされて俺は思わず身体を揺らす。

「離せよ……」

 俺とセフィロスの距離を離そうとセフィロスの胸を押すが、その腕を捕まれる。
 頭の上で拘束されて俺はさらに身動きが取れなくなる。

「嫌だ……っ!離せって!」

 顔を背けて、足をじたばたしてみるが、気にした風もなく、セフィロスは空いた片手で俺の胸を弄ってくる。
 身体は意識とは裏腹に反応して、大きく身体を跳ねさせて、声を上げてしまう。
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