もし、君がいないと(5)
もし、君がいないと

「セフィロス…?」
「いいから。この方が眠れるんだろう? しっかり眠れ」
「…寝ててもいいのか…?」
「ああ。ゆっくり寝るといい。傍にいることがわかるように、手を握っててやる」

 クラウドの手を掴んでやると、クラウドは安心したように息を吐き出して、瞼を閉じた。
 すぐに寝息が聞こえてくる。
 心なしか寝顔も笑っているように見える。
 クラウドには普段も、もちろん眠っている時にでも笑顔でいてほしいと思う。不安や恐れが一切心によぎらないような、そういう状況を作ってやりたいと思っている。
 しかし、俺が傍にいることで、俺と言う存在があることで、穏やかな日々を生み出せないのならば、この俺はクラウドにとってはよくないものであるのかもしれない。
 やはり、この俺は…。

「…ダメだよ、何があっても、傍にいるって言っただろ…?」

 クラウドの声に俺は目を見開いた。俺を見上げるクラウドの瞳に射抜かれる。
 いつも驚かされることだが、クラウドはいとも簡単に俺の想いを見抜いてしまうのだ。
 俺は軽く頭を振った。

「起こしたな…」
「バカだな。セフィロスは今のままでいいんだよ。俺の方の問題なんだから…」
「俺はただクラウドを幸せに…」

 頬にクラウドの手が触れる。

「気づいてない? これ以上ないぐらいに幸せだよ。幸せだから、些細なことが不安になるんだ。心配しなくても大丈夫、すぐに治まる」

 そう言ってクラウドは笑顔を見せて、上半身を起こした。大きく伸びをしてから、俺の横に並ぶように座った。

「…せっかく眠りかけてたんだろう?」
「ん、でも、いいや。もっと幸せ感じることにした」

 クラウドは両手で俺の頬を包むようにしてから、いきなり口づけてきた。

「…クラウド?」
「せっかく傍にいるんだし、な?」
「大人しく寝たほうがいいんじゃないのか?」
「嫌でも眠れる状況にしてくれればいい」

 抱きついてきたクラウドの身体をしっかりと抱きしめて、頭を撫でる。

「考え付くことが無茶だな、相変わらず」
「そうかな? お互いにいいと思うけど?」

 クラウドは俺の首筋に舌を這わせてくる。クラウドが誘ってくるのも珍しいが、その誘いに乗らなかった方が後が怖い。
 俺はそのまま体重を前に掛けて、クラウドをソファーに押し倒した。

「…敵わないな、クラウドには」
「何言ってんだよ。セフィロスには敵いません」

 クラウドは笑いながら、俺の髪の毛を指に絡めて、遊んでいる。
 こんな風に他愛もない会話ができて、クラウドの笑顔が見られる日常。
 そして、小さな不安さえも感じないでいられる。
 そんな日常を俺が作り出してやればいい。

「クラウド、この先も俺たちは…」
「ずっと一緒だよ」

 耳元で聞こえたクラウドの声に胸が熱くなる。その熱さをクラウドと分かち合うように、クラウドに貪りついた。


END
お付き合いありがとうございました!
ちょっと淡々としたお話になってしまいましたが、お気に召せば幸いでございます。
次回はもうちょっとはっちゃけた、ラブラブなお話をお届けできればいいなぁ。
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