もし、君がいないと(4)
もし、君がいないと

「セフィロス…、ゆっくり眠れてないだろ?」

 クラウドはリビングの扉を静かに閉めると、その扉にもたれかかった。

「ただでさえ、眠りが浅いのに、俺にベッド譲って寝てないってどういうことだ?」
「俺の心配より、自分の心配してろ。よく起き上がれたな?」

 二日酔いの影響が出るだろうと思っていたのに、意外にもクラウドはしっかりと立っている。フラフラしている様子はない。起き上がれないと思っていた俺の予想は外れてしまった。

「何とかな。俺にしてみれば、起き上がるしかなかったんだよ」
「…起き上がるしかなかった?」
「そう。セフィロスがいないんだからな」

 クラウドは俺がいないと眠れないという。寝ていられないということでもあるのだろう。
 ならば、俺が出張などで家を空けている時にはどうしていたのだろう。疑問に思ったが、口には出さなかった。
 クラウドの表情が曇っていたからだ。

「…悪かった。今から眠るか?」

 両手を広げて首を傾けると、クラウドは小走りでやってきて、俺の前で立ち止まった。さらに首を傾けてみると、俺の前を通過して、右隣に大きい動作で座った。
 広げた腕を仕方なく下ろして、息を吐き出すと、肩にこつん、と何かがぶつかった。右側を見ると、クラウドがもたれかかってきている。

「クラウド、寝るんだったら…」
「ここでいい…」
「ここでいいって言ってもだな…」
「セフィロスに近い方がいい…」

 クラウドは俺の腕に腕を絡めて、そのまま眠ってしまおうとしている。

「クラウド、その体勢では辛いと思う。横になった方がいい」
「ん…、そうかな…」
「膝枕、してやるから」

 クラウドは急に頭を持ち上げて、俺の顔を見上げてきた。目を丸くして、何度も瞬きをしている。
 俺は何かまずいことでも言ったのだろうか。

「し…、してくれるの?」
「ん、ああ。ここで寝るならな。ベッドがいいなら一緒に移動してやるが?」
「こ、ここでいいよ」

 クラウドは俺の膝の上に頭を乗せて、ごろりと横になった。目を閉じてすぐにでも寝てしまいそうな様子だ。
 ここ数日はちゃんと眠れていないようだったし、これでしっかり眠れるならいいだろう。クラウドには不安とか辛さとか感じずに過ごして欲しいと思っているのに、こんな風に俺の存在一つで眠れない状態にしてしまっている。俺がべったりとクラウドの傍にいられればいいのかもしれないが、そういうわけにもいかない。

「…セフィロス…」

 クラウドが俺の名前を呟く。

「どうした? 寝づらいか?」
「ごめん…。いつもは一人でも大丈夫なんだ…」

 その答えが本心から出ているものなのか、俺を心配させまいと思って出た言葉なのかは残念ながら、俺にはわからなかった。
 だから、ああ、としか返せずにいた。

「セフィロス、もしかして、呆れてる?」
「呆れてなどいない。心配なだけだ」
「…そうか。心配…させてるんだな…」

 クラウドが身体を起こそうとするのを制するようにクラウドの額に手を置いた。
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