HIGH PRESSURE<曲者だらけの客> [side:C] (3)
HIGH PRESSURE<曲者だらけの客> [side:C]

※1ギル=おおよそ100円換算

 セフィロスさんの社長という言葉で、記憶がよみがえった。
 俺の働くコンビニも傘下に置く、大企業、神羅カンパニーの社長だ。

「セフィロス、お前だって社長じゃないか。おまえこそ、ここで何を?」
「社長という肩書きは一緒ですが、格がまるで違います、一緒にしないでいただきたい。私はコンビニで買い物です」

 セフィロスさんはいたって無表情で淡々と言葉を吐き出している
 白スーツの社長は上着の内ポケットから煙草の箱を取り出した。一本抜いて、箱をポケットにしまい、出した一本を指先で遊ばせながら、小さく笑う。

「それはいい。俺の会社に貢献していただいてるということだな」
「…不本意ながら」
「相変わらず、口の減らない奴だな」
「性格上、どうしようもありません」

 セフィロスさんはそう言いながら、ライターに火をつけて差し出す。金髪の社長は煙草に火をつけて一口吸うと、ところで、君、と俺の方に向いた。

「は、はい?」
「私の傘下のコンビニの中でも、ここの店舗は売上げが好調でな、その理由を知りたいんだが?」
「はぁ…」

 そんなこと、ただのバイトがわかるわけがないと思うのだけど。
 強いて言うなら、ビジネス街にあること、夜勤のレノさんがイケメンで、夜のお勤めのお姉さんとか、残業帰りのお姉さんとかお買い物に来てるからじゃないかな。
 店員に依存してることになるから、他の店の参考にはならないと思うけど。

「そうですねぇ…」

 と考慮している風に言葉を濁していると、「難しいだろうな」とセフィロスさんが言った。

「品揃えがこの店だけ違うというなら別だが、そうでないなら、他の店も変わりがない。ビジネス街にあるから、サラリーマンなどのニーズに合わせたものを多めにしているとは思うが」
「もちろん、立地とニーズに合わせて多少なりとも商品の品揃えは変えている。他の地域の同じようなビジネス街にある店と比べても、この店は売上げが多い」

 金髪社長の言葉にセフィロスさんは軽く笑うと、ルーファウス社長、と呼びかけた。

「おわかりなんでしょう、理由は。わざわざお聞きになるのは、お話をしたいからですか?」

 お話ししたい? 誰と?
 ルーファウス社長は軽く頭を振ってから、大きく息を吐き出した。

「…これだから、察しのいい奴は好きになれん」
「お褒めいただき光栄。では、私はこれで」

 セフィロスさんは会釈すると、ビルの入り口の方へと歩いて行った。

「セフィロスさん!」
 無言で振り返るセフィロスさんに、俺は深々と頭を下げた。

「本当にありがとうございました!」
「さっきのことなら、もう、気にしなくてもいい。今後はもう少し気をつけたほうがいい」
「わかりました」

 じゃあな、と一言だけ残して、セフィロスさんは俺に背中を向け、歩みを進めた。広くて大きな背中を見送りつつ、何故だか鼓動が早くなるのを感じていた。

「あいつに礼を言うようなことが?」

 ルーファウス社長の言葉に我に返る。

「え? ああ、先ほど助けていただいたもので…」
「あいつでも人を助けることがあるんだな」

 俺は社長の言葉に違和感を覚えた。
 そんなに冷たい人には思えないんだけど、俺には。

「あいつも曲者だからな、気をつけておいた方がいいぞ」
「…はい…」

と一応、返事はしたものの、何に気をつけるというのだろう。
 確かに初対面はうさんくさい人だったし、お金持ちだし、テレビに出てる人だし、要素的には普通じゃないけど、別に怖いような人でもないと思うんだけどなぁ。

「クラウド! レジ応援!」

 店の中から、バイトさんに呼ばれて、俺は社長に会釈をして、店に駆け戻った。

第3話の [side:C] はこれで終わりです。
曲者が少しずつ増えております。この先も徐々に増えていく予定です。
第4話[Side:S]は年内には開始したいと思っております。
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