HAPPY! (4)
HAPPY!

 悲しそうな顔をしているお母さんの側にお父さんはやってきて、お母さんの頭をゆっくりと撫でた。

「嫌いなわけないだろう。好きでしょうがないはずだ。憎らしいのは、俺の存在のほうだろうな。クレフもそうか?」

 クレフは慌てて頭を振った。クレフは何でもできるお父さんがすごく好きだった。こういう人になりたい、とずっと思っていたのだった。

「ううん、ボク、おとーさんのこと大すきだよ!」

 クレフが満面の笑みを浮かべて見上げると、お父さんはちょっと照れたような顔をした。

「ありがとう。それにしても、クレフはクラウドに本当にそっくりだな。笑顔なんか特にな」
「だって、ボク、おとうさんとおかあさんの子どもだもん。でもね、おとうさんみたいになりたいんだ!」

 お母さんが急に笑い出したので、クレフはびっくりしてしまった。

「本当に俺を見てるようだ。セフィロスみたいになりたいんだって、俺も言ってたし。おいで、クレフ」

 そういうと、お母さんはクレフを抱き上げて、頭を撫でてくれた。

「お父さんみたいになるんだったら、今から何でも一生懸命やるんだぞ」
「うん、がんばる!」
「あ、もう、こんな時間だ。晩御飯の用意しなくちゃ」

 クレフは、そのまま、お父さんの手に移動され、お父さんに抱きなおされた。

「クレフは、いい子だな…」
「おにーちゃんはいい子じゃないの?」
「どうしてだ?」

 クレフはお父さんに床に下ろされると、おにーちゃん、わるい子なのかな、と言った。

「そんなことないぞ。カインはすごくいい子だぞ。いい子だから、悩むのだろう。しかも、頭がいいだけに、余計な心配までしてしまいがちだがな。俺に嫌いだって言えたらよかったんだろうが」
「おにーちゃん、おとーさんのこと、きらいなのかな?」

 お父さんがちょっと、悲しそうな顔をして、クレフの頭を撫でる。

「たぶんな…。ずーっと、嫌いなままだと思うぞ」
「ボクはそんなこと、ないとおもう。きっと」
「そうだと、いいけどな…」

 クレフは、お父さんがなぜそういう事を言うのかわからなかったが、お父さんは寂しいのだと思った。

「そろそろ、晩御飯にするよ。カインを呼んできてくれるか」

 台所の奥からお母さんの声が聞こえる。クレフは慌てて二階に駆け上がると、ドアをノックした。

「おにーちゃん、ごはんだよ」
「うん、すぐいく」

 お兄ちゃんの声が先ほどより元気な感じがしたクレフは、安心して階下へと降りていった。



「ねぇ、ねぇ、おかあさん」

 晩御飯が済み、みんなでリビングにいるときのこと。クレフはお母さんを呼んだ。

「なんだ、クレフ。もう、眠いのか?」
「ちがう。そうじゃないよ。あのね、ぎゅっ、てして」
「ぎゅ?」
「ほら、おとーさんが、いつもおかーさんにしてるみたいに」
「なっ…!」
 先に声を上げたのはお父さんの方だった。
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