All I need (5)
All I need

「シャワ-、浴びてくる! 今日は暑かったんだよ!」
「そうか!」

 そう言って立ち上がったセフィロスの顔が一気に明るくなる。
 いぶかしげに見つめるクラウドの手を取って、セフィロスはにっこり笑った。

「じゃあ、一緒に風呂で誕生日を祝おうではないか!」

 何がじゃあ、なのか!
 それ、セフィロスが嬉しいことであって、俺が嬉しいことじゃないぞ!
 クラウドは眉間の辺りを摘まむようにしてから、大きく息を吐き出した。

「…あのさ、セフィロスの頭、どういう作りになってんの? 一人で入ってきます」
「……残念だ…」

 酷くがっかりして、ソファーに項垂れるように座ったセフィロスを見下ろして、クラウドは苦笑する。
 他の人にはここまで感情を見せることはないから、自分だけが見ることが出来る。素晴らしい特権だ。

「お楽しみまで長い方がいいだろ?」

 セフィロスの頬に軽くキスを落として、リビングから出て行こうとするクラウドの背中に、セフィロスの声が当たる。

「何?」

 振り返ったクラウドの視線の先には、真剣な表情のセフィロスがいた。
 あまり見ることのない強く射貫くような瞳。
 次の言葉を待っているうちに、クラウドの鼓動が加速していく。

「好きだ」

 クラウドはその場に硬直した。一気に体温が上がって、顔が真っ赤になってるのが自分でもわかる。

「…えー、…あの…」

 どういう言葉を返していいのかわからずに、口ごもっていると、セフィロスは小さく笑って、来年も、と呟いた。

「来年?」
「そう、来年も同じ台詞を聞かせて貰う」

 それはつまり、来年になっても一緒にいてくれるということなのか?
 そう考えると、嬉しさと照れで身体はさらに熱くなってしまって、頭から湯気でも出てるんじゃないだろうかと不安になったクラウドは、頭のてっぺんに手を乗せる。
 来年も一緒にいるということは、セフィロスがクラウドを選んだということで、また、クラウドにセフィロスを選ばせた、ということでもある。
 気を抜けばにやけてしまうほどの嬉しさを表に出さないように、クラウドはちょっと意地悪に返した。

「…セフィロスが来年も俺の側にいたら、な」


END
お付き合いありがとうございました!
すいません、一ヶ月ほど遅れてのクラウド誕生日ネタでございます。
今回はエロ要素の欠片もないですが、
この後、やっぱりセフィロスが風呂まで追っかけるとか、
そういうのでもいいですし、風呂から出てきたクラウドを強制連行でもいいですし、
脳内補完をお願いいたします;;
とりあえず、クラウドお誕生日おめでとう、なのです♪
BACK