All I need (2)
All I need

「…クラウド、俺は…」

 口を開いたセフィロスに被るように、クラウドは早く、と声をかけた。

「せっかく作ってくれたんだから、美味しいうちに食べないと。ありがと、セフィロス」
「いや…、大した事じゃない…」

 座りながら答えるセフィロスに、クラウドは軽く笑った。
 欲しい物を言わなかったり、祝って欲しいと言わない理由をちゃんと聞けてないのが、ひっかかるんだろう。
 別に欲しい物がない、というわけでも、祝って欲しくないというわけでもない。
 ただ、そんな儀式的なことはもう必要ない。
 クラウドはそう伝えずに、向かいに座って食事に口をつけようともしない銀髪の男に問いかけた。

「セフィロスは欲しい物が聞きたい?」

 男は静かに首を振った。

「本当は聞かなくても、わかるべきことなんだろうけどな」

 そう言ってセフィロスは自嘲すると、いただきます、と手を合わせた。
 いつもなら、クラウドがご近所さんとの他愛もない話をしたり、セフィロスが上司をこれでもか、というぐらいこき下ろしていたり、時折、笑い声が響くような会話をしているのが普通なのだが、今日はどちらも口を開くことはなかった。
 炒飯を掬うレンゲの音がカチャカチャと音を立てるだけだった。



 まるっきり味けのない食事を終わらせ、食器を洗ったり、後片付けを全て済ませたクラウドがリビングに移動すると、セフィロスはソファーに座って、煙草をふかしていた。
 テレビを見ているようで、見ていないような、何か考えているような、そうでもないような、何とも言えない雰囲気だった。

「セフィロス?」
「ん?」
「…横に座っても?」

 クラウドの言葉にセフィロスは不思議そうに首を傾げたが、煙草をもみ消して、少しだけ左にずれると、どうぞ、と軽く笑った。

「まだ、考えてる?」
「そうだな、わからないからな」
「欲しいもののこと?」
「…それもあるし、クラウドが俺にわかってない、と言ったことも」

 セフィロスが急に視線を自分に向けてきたものだから、クラウドは一瞬、息を飲んだ。
 セフィロスの顔は誰もが絶賛して、溜め息を漏らすほどの美形で、長年一緒にいるクラウドでさえ、じっと見られると落ち着きを無くしてしまう。

「なあ、俺は何をわかっていない?」

 詰め寄ってくるセフィロスの表情はいつもの不敵さが一切消えていて、悲痛そうだった。
 そんなセフィロスを安心させるように、クラウドは両手を伸ばして、セフィロスの頬を包んだ。

「欲しい物がわかってないのは当然。俺に欲しい物がないんだから」
「ない…?」
「そうだよ。これ以上、欲しい物なんてないよ。だから、わからなくていいんだ」

 そう言って、笑顔を見せたものの、セフィロスはまだ、表情を変えない。
 欲しい物がわからなかったことより、クラウドが「わかってない」と言ったことの方が気になっているのだろう。

「セフィロス、俺はさ、手に入れちゃったんだよ」

 頬から手を離して、今度はセフィロスの手をとり、ぎゅっと握り締める。
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