いつも、いつまでも(2)
いつも、いつまでも

「何がおかしいんだよ」
「可愛い、と思った」
「…子供呼ばわり?」
「そんなつもりはない。そう思ったから、そう言っただけだが? それに色っぽい姿を見てるんだ、子ども扱いはできないだろ?」
「ば、バカ、何、言ってんだよ!」

 クラウドはまたも湯船を力一杯叩きつけ、さっきと同じようにまた一人だけお湯を頭から被っている。
 もうちょっと考えればいいのに、とセフィロスは思ったが口にはしなかった。さらにクラウドをご機嫌ナナメにしてしまうのを避けたのだ。

「…びしょ濡れじゃないか。俺はもう出るからゆっくり浸かるといい…」

 身体を起こしたセフィロスの肩をクラウドはいきなり押さえてきた。何か言いたげな、ねめつけるような視線にセフィロスは次の言葉を待つことにした。

「…そうやってまた俺を一人にするんだな?」

 何となくわかっていた答えだったとは言え、その通りの答えが返ってくると、嬉しくはなる。セフィロスはその嬉しさを抑えて、クラウドの頬に触れた。

「…ゆっくり入りたいのかと思ったんだが? 一緒に入るか?」
「…え?」
「…クラウドが選べばいい。どうする?」
「……入る」

 すくっとクラウドは立ち上がると、いきなり着ていたTシャツを脱ぎだし、あっという間に全裸になった。洋服を外に放り出した後、シャワーを掴んで頭から浴びたかと思うと、ぷるぷるっと軽く頭を振って、ざぶんと浴槽に浸かってきた。

「…静かに入れ、静かに」

 いくら二人が優に入れるサイズの浴槽だとは言え、跳ねた水しぶきが当たらないほどの広さはない。

「…うるさいなぁ、セフィロスは」

 すいーっと泳ぐようにして近寄ってきたクラウドは、セフィロスの肩に手を乗せると、言葉が過ぎるのを咎めるように、唇を塞いできた。

「うるさく言わせるようなことをするからだろう?」
「喜びを全身で表してみたんだよ」
「喜び?」
「そ」

 クラウドはにこっと笑ったかと思ったら、セフィロスに背を向けて、わわわわ、と湯船の表面を叩いている。
 こんなところで喜びを感じることなどあるのだろうか?
 疑問に思って、セフィロスはクラウドに声をかけてみたが、うわーと、言ってさらに激しく湯船を叩いている。水しぶきがあたりに飛び散り、セフィロスも後ろで迷惑をこうむっていた。

「こら、クラウド!」

 後ろから手を伸ばして両脇を抱えると、そのまま自分の方に引き寄せて、ぎゅっとクラウドを抱きしめた。

「…離せ、離せ!」

 もがくクラウドを押さえ込むようにさらに強く拘束する。

「…嬉しいんじゃないのか?」
「……」
「じゃ、俺がこのまま先に上がっても問題ないな?」
「…ダメっ!」

 自分の腰に巻きつけるようにセフィロスの腕を引っ張って、クラウドは頭を振った。

「…正直に言わないからだ」
「わかってること聞こうとするなよ…」
「……だったら、簡単に言えるだろう?」

 クラウドの耳朶をなぞるようにして囁くと、拘束している身体がピクンと跳ねる。クラウドの腰の辺りから上に向かってなぞるようにしてから、胸の突起に触れれば、クラウドは短い声を漏らす。

「…ホントに感じやすい…」
「…だ、誰のせいだよ…っ…、やぁ…っ」
「じゃ、俺のせいということにしてやってもいい」
「…なんで、上からの物言い…なんだよ…っ、間違いなく……ああっ!」

 片方の手でクラウドの昂ぶりに軽く触れただけなのに、クラウドは大きく身体をのけぞらせた。水の跳ねる音が反響し、クラウド自身にクラウドの反応のよさを知らしめる。
 昂ぶりをやんわりと掴んで上下に扱いてやると、クラウドは高い声を浴室にばら撒く。

「…ゆっくり、…浸か……らせろ…っ、ああ…っ!」
「…じゃあ、どうして一人で入らなかった?」
「……だって……」
「だって?」
「…少しでも長く一緒にいたい…から……」

 最後の方はよく聞こえないぐらいの小さな声だったが、何とか聞き取ったセフィロスは、嬉しさのあまり、ガバっとクラウドに抱きついた。

「セフィロスっ!」
「俺も一緒にいたい。クラウド、出るぞ」

 セフィロスはそう言うなり、立ち上がって、浴室から出た。自分の腰にタオルを巻き、もう一つバスタオルを広げる。

「こら! 何なんだよ、急に!」

 浴室から飛び出してきたクラウドの身体にバスタオルを巻きつけ、横抱きにする。

「一緒にいようとしてるんだ」
「ちょ……っ、降ろせよ! 歩けるって」
「いいから。クラウドを近くに感じたいから、こうしてる」
「…セフィ……」

 クラウドがぎゅっとしがみついてくるのを全身で感じながら、セフィロスは二階の寝室へと向かう階段を足早に上った。
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