切望するもの (4)
切望するもの

「…苦しいか?」

 苦しいけど、苦しいとは言わない。そんなこと言ったら、いくら悪魔を降ろしてても、セフィロスは俺から引き抜いてしまうだろう。
 それは今の俺では耐えられない事態だ。

「…早く…、動いて…ぇ」

 懇願する声の甘ったるさに俺自身が驚いて体を震わせてしまう。そのせいで下腹に力を入れてしまい、俺の中でセフィロスは質量を増した。

「…っ、ああ…っ」

 自分で自分を苦しめているような気分になる。いや、苦しみじゃないな。これから先に待っている俺が一番望んでいる状態に近づくための通過点だ。
 セフィロスがゆっくりと動き出して、俺の奥を同じ間隔で突いてくる。
 その間隔にあわせて、俺は声を部屋に反響させ、頭を振っている。それでも、さらに感じたい俺は、自ら腰を動かしていた。

「…そこ……、あ…っ、もっと……」

 セフィロスは無言で俺の腰をしっかりと掴むと、貫く動作を大きくしてきた。
 俺の内側は大きく擦られ、そのせいで湧き上がる気持ちよさに脳が蕩けだす。
 激しく早いテンポでもたらされる快楽に、俺は飲み込まれたままで、口の端から液体が流れ出しても、気にもならなかった。

「……もう、だめ……、お願い…っ!」

 セフィロスの腕を掴んだ瞬間だった、全身を走り抜ける衝撃に、俺は上り詰めてしまった。





 俺は隣にいるセフィロスの腕を掴んだ。

「どう伝えたらいい?」
「何を?」
「俺がセフィロスを好きだってこと」
「十分に伝わってるが?」

 セフィロスはタバコの煙を吐き出した。

「…そうかなぁ…」

 俺は体を捻って、上向きになった。天井に向かう煙を眺めつつ、何だか俺の思いもこんなにあっさり消えちゃってしまってる気がして、うーん、と唸った。

「じゃ、どうすれば、クラウドは俺に伝わってると感じられるんだ?」
「…それがわかればなぁ……」
「もちろん、こう箱なんかに思いを詰め込んで、これだけ好きだって言うことができれば計ることもできるだろうが、不可能だろう? だからこそ、言葉を使ったり、物を渡したり、態度で示そうとするわけだ」
「…それはそうなんだけど、伝わり度合いってわかりにくくない?」

 俺の思いが100だったとして、100全部セフィロスに伝わってるかどうかってどう判断すればいいのだろう。逆にセフィロスの思いが100あったとして、俺は100受け取りましたよって、どうやってセフィロスに伝えればいいのだろう。
 そう言うと、セフィロスは軽く笑った。

「100あったとして、100伝わったらそこで終わりなんじゃないか? 100あって、きっと10も伝わってないと思うから、伝えようとするんだろ?」
「…そうかもしれない。言っても言ってもいい足りないのは、そういうことなのかな?」
「もしくは、100あって、100伝わったとしても、また、次は200ぐらいの思いが沸いてくるから、伝え続ける。俺はきっと、こっちだろうな」
「セフィ!」

 俺の顔を覗き込んでいたセフィロスの首に腕を絡める。

「大好きだよ。ホントに。セフィロスが飽きるぐらい、ずーっと言うし、ずーっと欲しがるからね!」
「…この俺でよければいくらでも捧げるさ」

 セフィロスは俺の唇を塞いできた。セフィロスの背中に手を回して、やさしい口付けを受け取る。



 俺が欲しいのは
 
 セフィロスの言葉。
 セフィロスの身体。
 セフィロスの全て。


 俺の思いが伝わりきった、という確証が持てるまで。


 ……確証の持てる日? そんな日が来るわけない。


 だから、俺は、きっと



 永遠に切望するのだ。


END
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