切望するもの (2)
切望するもの

「何故?」

 セフィロスは俺の肩を抱いてきた。すがるようにセフィロスに抱きついて、セフィロスの鼓動を感じる。俺の内側からふつふつと沸いてくる熱っぽさ。
 やはり、シャワーなどでは流しきれなかったか。

「…セフィロスに呆れられそうな気がする…」
「俺が?」
「…呆れられて、嫌われたらどうしよう…、ってね」
「ありえない話だな」

 セフィロスは俺の頭を撫でながら、吐き捨てるように言った。セフィロスにとっては、大したことないのかも知れないが、俺にすれば、セフィロスに嫌われる=存在価値の喪失だ。

「クラウド、俺が今までにお前のお願い事に呆れたりしたことがあったか?」

 そんなことはなかった。俺が逆に驚くぐらいに、俺の言うことを聞いてくれる人だ。だから、逆に言い出しにくいこともある。

「クラウドの思いを受け止められるのは誰だ? クラウドは知ってるはずだろう?」

 それはセフィロス、ただ一人だ。

「そうだ。この俺だけだ。だから、俺に言わなければ、その思いはどうにもならないぞ」

 俺の頭の中で葛藤が繰り広げられる。
 わかってるんだ、たいしたことないお願いごとだってことは。

 ただ、こんなに思ってる俺をセフィロスはどう思うか。

 黙っている俺にセフィロスは、仕方ない、と呟くと、俺の顎を掴んできた。
 上を向かされたかと思うと、唇が塞がれて液体が注ぎ込まれる。渇いた喉は潤されるどころか、焼かれているような熱さだった。
 唇が離れて、俺は大きく咳き込んだ。

「…セフィロス…、お酒は……!」
「たまには酔っ払え。そして、言いたいことを言ってみろ。明日には忘れてるだろう」
「…俺が忘れても、セフィロスが……」
「自分が覚えてるほうがいいか?」

 俺はぼんやりする頭を覚醒させるように頭を振った。
 しかし、現実味がなくなって、体の力が抜けていくようだった。

「セフィ…、俺……」
「…言う気になったのか…?」

 言おうとしたのではない、と思う。
 ただ、本能のままに垂れ流そうとしているというのが正しい。言うぞ、とか言うべきだとかそういう自発的意思はもう、なかった。

「…どうしようもないぐらい、欲しくてしょうがない…。さっき、あんなに……んっ!」

 セフィロスは俺の口を再度塞いできた。あっさりと侵入してくる舌に俺は待っていたのをアピールするように、自ら舌を絡めた。
 唇を重ねる角度を変え、お互いの舌を味わうように、口の中を責め合っている。そんな行為にどれだけ没頭していたのだろう。
 口の端から液体が滴り落ちているのはわかっていた。

「…セフィ……」

 解放された唇からもれたのは、俺を捕らえて離さない人の名。
 その人は柔らかな笑顔で俺を見つめている。
 俺は自分からバスローブを脱いだ。触れてもらわなければ、どうにかなりそうだった。
 セフィロスが俺の肩を掴んで、首筋に舌を這わせてくる。それだけでも、脳が痺れそうだった。
 セフィロスは舌で鎖骨をなぞりつつ、たまに強く吸ってくる。そうやって、セフィロスは俺に印をつけるのだ。一生消えなければいいのに、と今まで何度となく思った。もちろん、それは叶わないことだけれど。

「…やぁ…っ!」

 舌先が胸の突起に触れて、俺は思わず体を仰け反らせる。舌先と指先で両方の胸を責められて、短い声を上げつつ、俺は頭を振る。後ろにひっくり返りたいのに、セフィロスが片腕でしっかり俺の腰を抱えているため、身動きは取れなかった。

「…セフィ、俺……っ!」

 セフィロスの動きが止まる。

「どうした?」

 俺は無言でセフィロスのモノに手を伸ばした。
 セフィロスが口元で笑う。悪魔が降り立った瞬間だ。

「…欲しいんだけど…、場所、変えて…」

 セフィロスは軽く笑うと、俺を担ぎ上げた。

「お望みの場所は?」
「…寝室…」
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