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「は、はぁ?」

 声が大きく裏返ったのは自分ではっきりわかった。
 拘束って、どっかに縛り付けられるんだろうか。
 ご飯も食べられないし、そもそも、トイレとかどうするんだよ…。
 んー、と頭を悩ませていると、男が俺の手からカップを取り上げた。

「あ…!」
「さあ、スタートだ」

 男は口元を片側だけ歪ませて、まるで獲物を追う獣のように瞳をぎらつかせた。
 背筋がぞくりと震える。
 その瞬間、欲望を露にした男の「拘束」の意味をはっきりと理解した。

「…本気…?」
「冗談とでも?」

 男は俺の両肩を掴むと、顔を鼻先が触れるぐらいまで近づけてきた。
 毎日、毎日顔を合わせていて、こんな至近距離で見ることも何度となくあるし、いい加減慣れてもいいと思うのに、胸の鼓動が早くなってしまう。それでも目がそらせない。そらすことを許さないぐらいに、射貫くような視線を受け止めることにも慣れないでいる。
 息苦しくなって、とっさに自分の胸元を掴む。

「…いや…、なんか……」
「…なんだ?」
「…俺の様子がこんなだから、気を遣ってる…?」

 男が急に乾いた笑いを漏らす。

「…まあ、クラウドの考えとか想いは大体わかる。だからって、それに気を遣うと思うか? この俺が?」

 俺は心の中で思うよ、と答えた。
 美貌とか、容姿とかそういうもので判断するなら、間違いなく冷たい人だと思われるだろうけど、案外というか、すさまじいぐらいに俺に甘いんだ。

「…じゃ、ホントにその気でいるのか?」
「当たり前だ。だから、言い切っただろ? 拘束する、と」
「…前々から思ってたけど……」
「ん?」
「…アンタ、相当の物好きだな…」

 一応は星を救ったことになってるけど、それ以外は普通のどこにでもいるような特にこれといって優れた容姿や才能を持ってるわけでもない、タダの男に向かって拘束したいなとど言ってのけるとは。

「そんな物好きはお気に召さないか?」

 俺は肩を掴む男の手を下ろさせると、長い長い銀髪を避けるようにして男の首に腕を絡めた。白い首筋に軽くキスを落して、肩に頭を預ける。

「…クラウド…」
「…ごめん、セフィロス…、しばらくこのままでいてくれ…」

 セフィロスは俺の身体を強く抱きしめて、頭をゆっくりと撫でてくれる。自分の鼓動とセフィロスの鼓動が重なるように呼吸を合わせた。同じように鼓動を打って、同じ時間を過ごしている。こんなに近くにいることが出来る。それだけで本当は幸せなんだけど、多分、身体が疼き出すのは時間の問題だ。

「…お安い御用だが…、これでいいのか?」
「…ん…、しばらくは。もし、ヤバくなったら…」
「さっさとヤバくなればいい」

 セフィロスは頭を撫でていた手を離すと、いきなり俺のモノをやんわりと掴んできやがった。

「…あ…っ」
「ほら、ヤバいんだろう?」

 セフィロスの愉しむような声が腹立たしいけど、抵抗できない自分がもっとイライラするっ!

「…ああっ、もう、好きにしろっ!」

 セフィロスはいきなり体重をかけてきて、俺をソファーに沈めた。すぐさま唇を塞がれ、舌を侵入させてきた。
 長い長いキスを交わしてから、俺はそのまま現実とも夢とも区別のつかないような快楽の世界に引きずり込まれた。



   ふっと目を開けたら、俺はセフィロスの腕枕で寝ていた。これにはようやく慣れてきた。昔は目を覚ましては、側にあるセフィロスの顔に驚いていて、セフィロスに呆れられていたものだ。
 セフィロスは目を閉じていたけれど、たぶん、眠ってはいない。いつも眠りは浅いし、俺が目覚めると、目が覚めるらしい。驚くほど長いまつげにすごいなぁ、と感心しつつ、名前を呼ぶ。

「…セフィロス…」
「何だ?」
「…ありがとう…」
「…礼を言われる心当たりがない…」
「…なくてもいい。俺が言いたいだけ」

 そう言って、セフィロスにすり寄ると、ぎゅっと抱きつかれた。声をかけるより先に、首筋に舌が這わされる。

「ちょ…っ、待てって…っ!」
「待たない」
「…よく…っ、飽きない…な…っ」

 セフィロスの指先が俺の胸の先を弄ってくる。

「どうせ、また明日から仕事漬けなんだ。貴重な時間を惜しみなく使わないとな」
「…使い方、間違って…ない…か…?」
「どうとでも言え。俺にしたら、有意義な時間だ。何せ、時間を止める術を俺は持っていない」

 俺にもそんな力は無い。
 もし、時間を止めることが出来るなら。
 そう思ったことは何度もあるけれど、きっと、時が動いているからこそ、一緒にいたいと思うんだろうし、一緒にいる時間を貴重だと思う。そして、その時間を深く感じるために、こうやって抱き合いたくなるんだろう。

「…じゃあ、その有意義な時間にお付き合いするよ…」

 セフィロスの舌先と指の動きに誘われるように、俺は自分の全てをセフィロスに預けた。


END
すいません、わーっと書き殴りました。
単に、いちゃいちゃしてるというか、ぎゅっと抱き合ってるところが書きたかっただけなんです。
だから、エロい所は全部省きました。エロい話は新刊に載ればいいなぁ…(遠い目)。
2016年の目標:「ラブラブ街道まっしぐら。甘々大王の座を勝ち取る!」(半年も過ぎようとしてるのに)
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