夏の夢 (1)
夏の夢

 「ただいま…」

 玄関に入って声をかけてみたが、特に返事はない。
 今朝、俺が出かける時には、配達はない、と言っていたから家にいるはずなのだが、急に配達の仕事でも入ったか。
 廊下を抜けて、リビングの扉を開く。
 中はひんやりするぐらいの温度になっていて、外から戻ってきた俺にはとても心地良い。だが、この部屋にずっといるとすると、身体が冷え切っているのではないだろうか。
 ソファーに座ろうとしたところで、そのソファーが占拠されているのに気がついた。
 クラウドが気持ちよさそうに眠っている。Tシャツにハーフパンツだから、身体は冷たくなっているだろう。
 手を伸ばして、そっと腕に触れてみた。

「…ん…」

 クラウドは身体を起こして、俺の顔をじっと見てから、おかえり、と言った。
 目が座っているところをみると、起こされて不機嫌なのだろう。

「はぁ。いいとこだったのにー」

 ソファーの端にクラウドが座り直したので、俺は空いたスペースに腰を下ろした。
 すぐさま、クラウドが俺の首に腕を絡めて、抱きついてくる。

「アンタ…、暑い…」
「さっき帰ってきたところだからな」
「…で、俺を起こした、と」
「起こしたわけではなくて、こんなに冷房を効かせた部屋だと冷えてるんじゃないかと思って、触れてみただけだ」
「でも、俺、起きたし」

と、むすっとした顔で言う。

 いいところだった、と言っていたから、素敵な夢でも見ていたのだろう。

「…悪かった。いい夢の途中だったのか…?」

 クラウドは俺の後頭部をガッチリと掴むと、唇を重ねてきた。そのまま舌を差し入れてくるから、好きにさせてやることにして、舌を絡ませ合う。
 しばらくして、主導権をこっちに取るべく、舌先を強く吸いあげてやると、クラウドは俺のほうに倒れ込んできた。

「…せっかく、セフィロスと気持ちよくなる夢見てたのに…」

 駄々を捏ねる子供のように、俺の肩の上で頭をグリグリと押し付けてくる。
 もう、可愛いことこの上ない。
 可愛いって言ったら怒るから口にはしないけれど。

「それはそれは失礼した。今から責任を取ろう。夢より現実の方がいいだろう?」

 耳元で囁くと、クラウドはピクンと身体を震わせてから、俺との距離を開けて、俺の顔を見上げてきた。

「もっとやらしい顔してたよ、夢の中では」
「俺は俺でどんな顔してるか見られないから、わからん」

 そうだな、俺しか見られない、俺だけの特権だな、とクラウドはくすくす笑いながら、俺の首筋に舌を這わせてくる。

「きっとクラウドから誘ってくれたら、やらしい顔になるかもしれない」
「…んー? 誘った方がいいのか?」

 そう言いながらも、クラウドは俺のシャツのボタンを開けていき、全て外し終わったところで、俺の鎖骨を指でなぞリ始める。
 ふと、顔を上げて、俺と目線を合わせたクラウドの顔があまりにも艶っぽくて、思わず息を呑む。

「…そりゃ、誘ってもらった方が嬉しいわけだから、顔もにやつくだろう?」

 クラウドはなぜか、ちっと一つ舌打ちすると、俺の鎖骨に吸い付き、歯を立ててきた。

「っ…、クラウドっ!」
「誘う、誘わないに関係なく、俺を抱いてるんだから、やらしい顔しろよ」

 クラウドを抱いている時の顔など俺が見えるわけないのだから、やらしい顔と言われても、どういうものかわからない。

「じゃ、早速クラウドを頂くとしよう。抱いてるうちにやらしい顔になるかも知れない」

 クラウドの肩を掴んで、後ろに押し倒す。クラウドは抵抗する素振りもなく、あ…っと、甘い声を漏らしている。俺がクラウドのTシャツに手を掛けるより前に、クラウドは自ら自分のTシャツをまくり上げた。
 白くて、滑らかな肌が晒されている。鍛えられた腹筋から胸に向かって指を滑らせると、クラウドはぴくっと身体を揺らせた。
 表情が見たくて、顔を覗き込んでみると、クラウドは俺と目を合わせて、早く…、とねだるように呟く。
 夢の続きを早く体感したいからなのだろうけれど、煽ってくるのが早すぎやしないか。
 クラウドの胸の突起に指先で触れると、ああん、と声を上げる。胸は弱いから、少し触れただけで、かなり反応をする。
 指先で摘まんだり、捏ねたりしてやると、さらにクラウドは声を上げて、身体を捩らせる。すぐに赤くなって上向きになった尖りを、今度は舌先で舐めあげる。

「…やあ…っ!」

 自分でまくり上げて握っていたTシャツを離して、俺の腕を掴んできた。

「こら、Tシャツ離すなよ。触ってやれないぞ」
「…じゃあ、脱がせて…」
 クラウドはそう言いながら、腕をあげて、万歳の体勢を取る。Tシャツの裾を両手で掴んで、乱暴にまくり上げると、そのまま腕を抜いてやり、Tシャツは床に落とす。
 無駄な脂肪のない惚れ惚れするほど均整のとれた身体が目に飛び込んできて、思わず喉が鳴る。
 先ほど舐め上げた乳首の方にもう一度舌先で触れてから、ちゅっと音を立てて吸い付く。吸い上げたり、舌先で転がしたりしているうちに、もう、つんと固くなっているようだ。片方は指先でつついたり摘まんだりしてやり、刺激を与え続ける。

「…あ…っ、もう、や…っ、やめ…ろ…っ!」

 クラウドの声を無視して、舐めていた突起を強く吸い上げると、クラウドは大きく身体をよがらせた。
 胸から離れて、クラウドの身体を見下ろす。白昼の部屋の中のため、クラウドの身体ははっきりと見えて、唇で攻めていた方の突起は赤くぷっくりと膨れ、濡れそぼっているのが、何とも艶めかしい。

「…触って欲しそうだな」

 クラウドの下腹部に兆しを見てとった俺は、ハーフパンツの上から、形を確かめるように手でなぞった。

「…う…っ、ああ…っ!」

 そのまま手を滑らせてさすってやると、クラウドは短い息を手の動きに合わせて漏らす。熱を帯び、頭を持ち上げ始めたのがわかったので、クラウドのハーフパンツと下着に手を掛けた。

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