ホットココア
ホットココア

「何だ?」
「白いほうに卵酒、青い方にホットココアが入ってるから。起きたら少し飲ませてあげて」
「卵酒ばっかり飲ませて、襲うなよ」

 ザックスがにやりと笑みを浮かべて、俺を見てくる。

「いつもクラウドに欲情している俺でもだ、病気で倒れてるクラウドを襲ったりはしないぞ」
「だんなさぁ、前半、自慢げに言ってるけど、自慢するようなことか?」

 お茶をずずっと啜りながらザックスは肩をすくめている。

「クラウドは幸せ。こんなに愛されてるもんね。クラウドのパジャマとか着替えとかの場所はわかってる?」
「ああ、それはわかるが」

 クラウドは寝室から繋がるウォークインクローゼットに下着から洋服など衣類のものを全てしまっていたはずだ。

「汗かいたりしてるかもしれないから、着替えさせてあげて。後は、クラウドの側にいてあげてね。きっと不安だろうから」
「体調悪いと心細くなるもんな。じゃ、だんな、俺たちはこれで」
「子供たちのご飯まで作ってもらって申し訳なかった。また、お礼に伺う」

 俺が頭を下げると、いいから、いいから、とザックスはにっこり笑って、エアリスと一緒に家から出て行った。



 ウータイの間の襖をそっと開けて中を覗いてみる。
 部屋の真ん中に布団がひかれていて、そこにはクラウドが横たわっていた。
 その布団の側に腰を下ろして、クラウド、と小さく呼びかけてみる。

「……ん……」
「気分はどうだ…?」
「…セ……フィ……?」

 クラウドの声は掠れていて、ようやく聞き取れるほどのものだった。喉が腫れているのかも知れない。
 首をゆっくりと傾けて、クラウドは俺と目を合わせた。

「ここで眠っているか? ベッドの方がいいか?」
「…ベッドがいい……けど……」
「けど?」
「……身体が痛くて……」
「動けないんだな。後で運んでやる。ベッドの準備とかしてきてやるから、待ってろ」
「……セフィ…っ!」

 クラウドはいきなり身体を起こすと、俺の腕を掴んできた。そのまま、激しく咳き込んで、前に倒れてきたので、身体を抱きとめてやった。

「いきなり起き上がるからだ!」
「…ご、……ごめ……っ、で、でも……」
「大丈夫だ、すぐに戻ってくる。チョコボでも数えてるといい」

 俺にしがみついたままのクラウドをなだめて、もう一度寝かせる。額に軽くキスを落として、俺はウータイの間からキッチンへと向かった。
 エアリスが用意してくれた水筒二つと、氷枕を抱えて寝室へ向かう。サイドテーブルに水筒を置き、氷枕をいつもの枕とを差し替える。
 タオルと代えのパジャマも用意してから、ウータイの間へと戻った。
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