Crazy Rendezvous (1)
Crazy Rendezvous
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「…はい…、……またか、……ああ、わかった」

 電話の相手はいつもの通りティファだ。
 ハイウェイにまたモンスターが出たらしい。この頃、我が物顔で闊歩しているようだ。
 夕べも何体か退治したけれど、また出てくるとはどこかから沸いて出てるんじゃないだろうか。
 巣窟に踏み込んだ方が早い気もするけど、先にハイウェイのモンスターを片付けた方がよさそうだ。潰されても困る。
 携帯電話をポケットにしまい、身支度を整えたところで、扉を開ける音がした。
 寝室の扉を開けて出てきたのは、俺より頭一つ分以上背の高い男だ。長い前髪を掻き上げつつ、おはよう、と言ってくる。
 「おはよう」というよりは「こんばんは」だろうし、通常の人は「おやすみなさい」の時間だと思う。
 一応、おはよう、とだけ返しつつ、グローブを嵌める。グーとパーを繰り返して、手袋を手になじませていると、その手を男が掴んできた。

「何だ?」
「今日は俺も行く」

 どういう風の吹き回しだろう。
 いつも俺が警備に行く頃に起き出してきて、ぼんやりと俺を見送るだけの男が。

「は? 何言ってんの? セフィロスは起きたばかりじゃないか」
「いいだろう? たまにはクラウドと夜のドライブも」

 いやに真剣な顔で言うから、俺は断りきれず、わかったよ、と渋々承知した。

「五分後には出るからな。それまでに仕度しろよ」
「わかった」

 男はそう言うと、腰を優に超える長さの銀髪をまるでマントを翻すように靡かせて、寝室へと戻った。
 俺は玄関を飛び出すと、三階分の階段を駆け下りて、バイクまで急いだ。
 階段の脇に止めてある愛車を確認してまたがる。エンジンをかけてみて、昨日のバトルでの影響の少なさにほっとする。
 シドのところに持って行くはめになると、当分乗れなくなるので、バトルでの損傷はなるべく避けたい。もちろん、避けるように心がけてはいる。

「…待たせた」

 セフィロスは黒いコートの裾を風に泳がせつつ、近づいてきた。全身黒づくめ。皮のコートに皮のズボン、黒いロングブーツ。
 闇に染まることを拒否したような銀髪だけが、薄暗い街灯に照らされて鈍く光っている。

「遊びじゃないんだからな」
「わかってるさ。俺も少し気になってるだけだ」
「…気になる…?」
「まあ、いい。急いだ方がいいんだろう?」

 セフィロスは何が気になっているんだろう。
 これまで何度となく警備に行っているけれど、今の今まで、興味を示したことさえなかったのに。

「飛ばすよ」

 セフィロスが後ろに乗ったことを確認して、アクセルを全開にした。



「…なんか静かだな…」

 ハイウェイを走り出して、しばらく経つのにモンスターの姿は見えない。
 雑魚の一匹もいないのに、警備の依頼っておかしくないか。
 神経を研ぎ澄ませ辺りを警戒しながら、バイクを走らせ続ける。何となく嫌な静けさではある。嵐の前の静けさとも言うし、後ろに乗ってるセフィロスも何も言わない。
 そんな嵐はカーブを曲がったところで、急にやってきた。
 いきなりの熱風に目を細め、バイクを急停車させる。

「…おでましか…」

 セフィロスののんびりした声に、俺はイラッとしてアクセルをふかせた。

「悠長に言ってる場合か! しっかり掴まってろよ!」

 予想外のリスキーボムの出現に、俺は軽く舌打ちした。
 斬りつけながら、バスターソードのマテリアを確認して、内心、がっくり肩を落とす。
 こういうときに限って、ファイアとか冗談だろ…。
 とりあえず、斬りつけ続けるしかないか…。
 バイクを右手で操って炎の攻撃をよけつつ、斬りつけてはみるが、あんまり効果はない。
 一旦、引き返すって手もあるけど、こいつを放置するわけにもいかないだろう。
 と、俺が考えていることなんか、リスキーボムはおかまいなしだから、がんがん炎は飛んでくるし、大爆発とかかましてくるし、もう、冗談じゃない!
 考えあぐねて、バイクのスピードを落としたところで、バスターソードを持つ左手を後ろから急に握られた。

「…な、なんだよ!」
「俺に貸せ。クラウドはバイクの運転に集中して、できるだけあいつに近づいてくれ」
「は? こら、ちょっと待てって!」
「急がないと、逃げられるぞ」

 逃げられるのも癪だし、でも、セフィロスに武器を奪われたのも癪だ。そんなイライラをぶつけるように、バイクをスロットル全開で加速させた。
 リスキーボムの真後ろまで追いつき、つかず離れずの距離で追走する。
 カシャン、と金属音が響いた後だった。

「凍れ」
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