Crazy Rendezvous (2)
Crazy Rendezvous
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 バイクのエンジン音に紛れて聞こえた声と共に、すさまじい冷気が俺の目の前を遮った。
 今、この場所で、これだけの魔法の威力が出せるのは、一人だけだ。
 慌ててブレーキをかけて、転倒を避ける。後ろに乗っていたセフィロスの姿はなかったので、飛び降りたのだろう。
 真っ白になった視界が開けた時には、リスキーボムは消滅していた。

「クラウド、ほら」

 ぼんやりしていた俺の横に来たセフィロスはバスターソードを渡してきた。
 マテリアは付け替えられていた。

「俺が持ってたからよかったものの」
「…セフィロス、アンタ、見越してたんだろ?」
「いや…。正直、このクラスのやつが出てきてるとは思ってなかったな」
「…何か知ってるのか…?」

 セフィロスは首を軽く振った。

「何も知らない。そもそも、お前も知ってる通り、俺は寝て暮らしてるだけのしょうもない男だぞ」
「…そうでした。普段は全く役立たずでしたねぇ」

 俺が警備に出る夜中に起きてきて、俺が警備を終えて朝方帰ると、ソファーで横になってる。俺が寝てる間は何してるのか全くわからない。で、俺が起きると、お休み、と言って寝てしまう。とてもすれ違いの毎日だ。
 一緒に暮らす必要性が全く感じられないけど、それでも一緒にいる理由が別にある。

「その通りだが、人に言われるとむかつくものだな」
「じゃあ、役に立ってみてよ」
「俺にできることなどない、と知ってるだろう?」

 でも、本当はとてつもない戦闘能力を秘めている。その力が活かされることはめったにないから、今日は珍しいことだ。

「知ってるよ。でも、本当はそうじゃないのも知ってる。今日は助かったよ」

 ありがとう、と頭を下げると、ぽんぽん、と頭を軽く叩かれた。
 頭を上げた先にはセフィロスの柔らかい笑顔があって、俺はきゅっと胸が痛くなった。
 形容しがたいほどの美形と俺の周りでは賞されていて、街を歩けば、大概の人が振り返るような容姿の持ち主だ。
 そんなセフィロスが俺だけに笑顔を見せてくれているわけだから、俺は少しだけ優越感に浸れる。

「どういたしまして。大したことじゃない。あのままじゃ、クラウドもバイクもやばかっただろ?」
「ごめん、ちょっと油断してた」
「次からは気をつけろ。こうやっていつも一緒にいてやれるとは限らない」

 一緒にいられない。
 その一言が無性に不安を募らせてきて、俺は思わずセフィロスに抱きついていた。

「どうした? 怖かったのか?」
「こ、怖いわけないだろ! バカにするな!」
「それは悪かった。では、こうしてやれば落ち着くのか?」

 セフィロスは俺の身体を強く拘束してきた。
 鼻をかすめるセフィロスのシャンプーの香りとか、肌で感じる体温とか色々が混ざって、俺の身体が火照っていく。

「…ぁ…っ」

 セフィロスの指が背中を滑って、そのまま尻のラインをなぞる。これだけで声が漏れるんだから、俺の方が入れ込んでるんだろう。
 そう、一緒にいるもう一つの理由だ。

「クラウド、ここに来るまでにいい感じのホテルがあったぞ」
「…バカか。報酬をホテル代につぎ込む訳にはいかないだろ」
「それは残念だ…」

 首筋に吸い付いてきたセフィロスの身体を押しのけて、俺はバイクへとまたがった。

「だから、早く帰る。さっさと後ろに乗れ」

 了解、と小さく呟いて、セフィロスは後部座席にまたがる。

「…なぁ、ホントは何を知ってるんだ?」
「…何も。しがない一市民の知り得ることなんて、大した物じゃない」

 軽く肩を竦めるセフィロスに、そうですか、とだけ返して、俺はバイクをスタートさせた。



 間違いなくセフィロスは何かを握っていて、その内容はこのところのモンスターの出現とか、そういう事象にも関係しているのだろう。
 ただ、確信がないからなのか、単に言いたくないだけなのか、俺には隠す気でいるらしい。
 それならそれで、俺はハイウェイの警備を続けるだけだ。
 願わくば、一日でも長く、この俺と後ろで何を考えているかわからない男とのこの関係が続くことを。


END
お付き合いありがとうございました!
G-BIKEを始めて、勢いで書き切ったネタでございます。
設定とかおおざっぱな状態で書き始めましたが、
書いているうちに、かなり楽しくなってきましたので、
この設定で色々書いてみようかと、考えたりしております。
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