予定調和
予定調和
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 扉を開ける音。
 部屋に漂う紫煙と微かな洋酒の香り。
 ベッドの上で本を読む人。
 扉を閉める音。

 ベッドにもぐりこむときにシーツが擦れる音。

 本を閉じる音と、氷が解けてグラスとぶつかる音。
 頬に触れる手。
 クラウド、と囁く声。
 瞳を閉じて、キス。

 全てが予定調和。
 時計の歯車のように、それは毎日同じように繰り返される。
 そんな何気ない毎日が本当は幸せで、代えがたいもののはずなのに、俺は我慢が出来なくなる。
 何もかもが惰性。
 この人が俺に触れるのも、キスをするのも、深く貫いてくるのも。


「セフィロス……」
「ん?」

 そして、自ら歯車を狂わせる。

「本当に俺が欲しい?」
「……クラウド…?」
「…ごめん、そんな気にならない…」
「…わかった…」

 セフィロスは俺のわがままや思いを全部受け止める。
 俺がこうやって軽く拒んだだけで、飲み込めるほどの思いなんだろうか。
 俺はセフィロスにとって、その程度でしかないのだろうか。
 セフィロスの本当の思いはどこにあるんだ?

「…ごめんね、セフィロス……」

 俺は全てを遮断するように、静かに目を閉じた。



 そして、俺は夢を見る。

 俺は小さな小さな細胞になって、セフィロスの身体に取り込まれる。


 そう、こうやって、一つになりたかったのだ。
 いつもいつも一緒にいられる。
 それはとても幸せなことで。



 ねぇ、セフィロス、聞こえる?


     愛してるよ    


END
何か、ふと思いついたので書きました。
ラブラブかどうか、と言われたら判断つきかねますが、まあ、たまにはこういうのもありかな、と。
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