空と君と
空と君と

「うわ~、広~い」

 そう言って彼女は空を見上げっぱなしだ。
 空なんだから、当たり前だろ、という言葉を飲み込む。
 彼女は本当の空を初めて見たんだ。

「怖いと思ってたけど、うん、平気」
「そうか」
「だって、ザックスみたいだもん」
「俺?」
「そう。大きくて、広くて、あったかいの」

 俺は空を仰いだ。
 雲一つない空は、吸い込まれそうだった。

「俺、こんなに懐、広くないぜ」
「そうかな~」
「そう、一人で、いっぱいいっぱい」
「それって、私がわがままってこと~?」

 拗ねたように踵を返して、歩き出した彼女の腕を掴む。

「そういう意味じゃないって」
「わかってる。言ってみただけ」

 彼女は太陽の光を浴びて、楽しそうに、花売りワゴンを押し始めた。

「お花、売れるかな」
「こんなに綺麗なんだから、絶対売れるって」
「うん、ミッドガルもお花で一杯にしよう」
「出来るさ」
「ザックスも一緒だもんね」

 にっこりと笑顔を見せるエアリスに俺は言葉を返せなかった。
 いつも、その笑顔に癒されてた。

 いつかそれは俺にとってかけがえのない存在になって、手放せないものになり、強くありたいと、この人を守り抜けるぐらいの強さが欲しいと願うようになった。

 ありがとうの言葉ではあまりにも軽い気がした。

 かといって、愛の言葉を謳うようなことができるガラじゃないし。

「ありがと、ザックス」
「えっ?」

 見抜かれたのかと思って、俺は声を上げてしまった。

「お願い、聞いてくれて」
「何のこと?」
「しらばっくれてもダーメ。お仕事忙しいのに、来てくれてるんだもん」
「ああ、いや、それは…」

 彼女のお願いごとはホントにささやかなことで。
 そんなささやかなお願いを叶えてあげることが、俺が今できること。


「もっと一緒にいたいです」


 彼女の声が風に乗って、俺の耳に心地よく響く。


「エアリス、俺も一緒にいたい」


END
すいません、ほんとに。
尊の願望がありありと出ています。
ザックスには幸せになってほしかった。
二人の幸せな姿を見たかったので、書きました。
皆様の世界観を崩してしまっていたら、申し訳ありません。
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